カスタードプリンの底にある、ほろ苦いカラメル。宝塚北高校(兵庫)化学部の3人は、そんなおやつでおなじみのカラメルに注目した。なぜほんのり褐色になっているのか、どんな反応が起こっているのか、膨大な実験を繰り返して結論を導き出した。(木和田志乃)
3人は砂糖の主な成分であるスクロース(ショ糖)に熱を加えて、褐色のカラメルになる時にどのような反応が起こっているのか調べた。
「この研究は、もともと1年生の時に先輩たちと行った、ホットケーキを焼くと茶色になる理由を調べた研究がもとになっています」と髙津舞衣さん(3年)。焼き色の変化に、糖のカラメル化が関係していると分かったと振り返る。
なんで茶色になるんだろう
カラメルを作るには、糖に水を加えて加熱することが必要だ。
先輩たちから引き継いだ実験データを見直す中で、「水を加えず結晶のまま加熱しても、カラメル化が起こった。しかし、先行研究を調べても、その理由が分からなかったため、自分たちで調べることにした」(丸田裕介君・3年)という。
スクロースは、グルコース(ブドウ糖)とフルクトース(果糖)が結合してできている。そこで、その3種類の糖の結晶をホットプレートで加熱して観察。それぞれのカラメルの成分を分析して、カラメルになる前に特定の「中間生成物」ができていることを見つけた。
その生成物が何であるか調べるため、別の糖も使って比較した。「糖を加熱した後、生成物を溶かして試験管に入れて解析に使うんですけど、使い終わった試験管がたまってたまって……」(髙津さん)
友人に手伝ってもらいながら
部員でない友人に、洗浄の手伝いを依頼するほど膨大な実験を繰り返した。
結果、中間生成物が「5-ヒドロキシメチルフルフラール」であり、この物質を多く生成する糖が、カラメル化も速いと突き止めた。さらに、スクロースは高温で加熱すると水分がわずかに生成し、そのため水を加えなくてもカラメル化が進むと推測している。
髙津さんは「新しい発見をリアルタイムで実感できるのが研究。一気に進んだ時は、もつれたひもがほどける瞬間のように、おもしろい。まだ詰め切れていない部分もあるので。これからも研究を続けていきたい」と話している。
訂正:氏名の漢字に誤りがあり、修正しました。(2020.3.24 10:00)