1月、高校生たちが考えたビジネスプランを競う「第7回高校生ビジネスプラン・グランプリ」(日本政策金融公庫主催)の最終審査会が東京大学本郷キャンパスで行われた。全国409校3808件の応募の中から「新型スティックのり」を提案した三国丘高校(大阪)がグランプリ(最優秀賞)に輝いた。(文・写真 中田宗孝)

ジャイアントコーンがヒントに

ファイナリストに選ばれた10組が、6分間のプレゼンテーションを通じて、創造力豊かなビジネス案を伝えた。

三国丘高校(大阪)の2年生8人によるビジネスプランは、プラスチック製の容器をめくって使用する「新型スティックのり」。

のりが減ってきたら、容器をペリペリっとめくって使う動作から商品名を「PeriPeri」と命名した。

PeriPeri

包装紙をめくりながら食べる円錐型アイス「ジャイアントコーン」からヒントを得て、画期的な容器のアイデアが生まれた。

容器の工夫でもったいないをなくす

「PeriPeri」の最大のセールスポイントは、スティックのりの容器をめくることでのりを最後まで使い切れるところだ。

彼らの調査によると、市販のスティックのりは、スティックの底(受け皿)の部分に13%ののりが埋まってしまい、使い切ることができないという。

最終審査のプレゼンでは「この“もったいない”を『PeriPeri』の容器で解消できます!」と強くアピールした。

グランプリをとった三国丘高校の生徒たち

3Dプリンターで試作「めくれるやん!」

同校で国際的な人材育成などを目的とした授業を受ける8人がチームを組んで、昨年4月からビジネスプランを練ってきた。

「身近なモノでビジネスを考えようと決め、その“モノ”が抱える問題点を小さな工夫で解決できないか探っていきました」(酒井瞳さん)

「ランドセルの再利用」や「マタニティグッズのシェア」といったいくつかの案の中に「のりが残ってしまうスティックのり」があった。

7月、メンバーの一人、深江拓登君が3Dプリンターでめくるタイプのスティックのりを製作。完成した試作品に触れてみると、「一筋の光が見えた。これしかない!」(木尾日陽さん)、「(構想どおり)めくれるやん!って感動しました」(多葉初夏さん)と、メンバー全員が自信を深め、新型スティックのり「PeriPeri」の開発にまい進した。

ぺりぺりめくってエコなのり

フィリピンの大学生に意見求め「環境にやさしく」

昨夏、米国・フィリピンを訪ねた海外研修でも、現地の大学生に「PeriPeri」を紹介し、意見を求めた。

フィリピンの学生から環境に配慮したプラスチックを使用するよう指摘を受け、気づかされた。

「僕らは環境面の視点が抜けていた。(商品開発をするうえで)自然環境への影響を意識するようになったんです」(後藤匠君)

「PeriPeri」の容器には環境に優しい植物由来のプラスチックを使用。さらにプレゼンでは、文具メーカーと協力しながらより環境負荷が小さい新素材を使うプランを将来の展望に掲げて、審査員の支持を獲得した。