「やる気」は、勉強や部活で大きな成果に導くための源だ。やる気を引き出すための考え方や具体的な行動計画などを、教育に関するさまざまな専門知識を持つ石田勝紀さんに教えてもらった。(中田宗孝)

Q.何にもやる気が出ません……。そもそもやる気を出す方法はあるのでしょうか?

A.自分がどうなりたいのか「本気で」決めましょう。

なりたい自分を本気で決める

自分がどうなりたいのか「決める」ことが大事です。「思ったこと、考えたことは実現する」という法則があります。より正確に言うとしたら、「『本気で』決めたことは実現する」のです。多くの人は「自分はできない」と決めているため伸びません。

 

人間の脳には、「なりたい自分」に反応して、見たいもの、聞きたいこと、知りたい情報を拾い出す機能があります。例えば、「保育士になりたい」と決めたとします。その日から脳にスイッチが入り、街を何気なく歩いていると保育園が目に飛び込んできます。本屋に立ち寄れば「保育」の単語が入ったタイトルの本が目につくようになります。一息入れたカフェでは、隣の席で育児の話をし始めた母親たちの会話が耳に入るようになります。保育士になるために必要な情報が自然と入ってきます。

自分にとってためになる情報がどんどん得られるため、保育士を目指すための次の行動を起こしたくなる。その行動の繰り返しで保育士になる夢をかなえる。これがやる気を出して、夢や目標を実現させるメカニズムです。

「どの専門学校に入るか」など、具体的なプロセスまで決めなくてもよいのです。ゴールにたどり着くまでの道筋は無限にあるからです。まずはゴールを決めることが大事です。

脳が必要な情報を拾う

もう一つ例を挙げましょう。「学校の成績をオール4にしたい」と決めたとします。すると授業中、「ここテストに出題されるから大切だよ」という先生の一言が耳に入ってくるようになります。脳が、自分の決めた事柄に関係する情報を自動的に拾ってくれるのです。一方、「このままでいいや」と、今までの自分の成績で満足している人には、先生の言葉は届きません。人は自分が見たいもの、聞きたいものの情報のみ、インプットされるのです。

「目標や夢を決めたのに、情報が入ってこない……」という人もいるでしょう。それは目標や夢を「本気になって」決めていないからです。例えば「いつか海外留学に行く」では、本気で立てた目標ではありません。「来年の春に海外留学に行く」と「決める」ことで、脳にスイッチが入ります。

いしだ・かつのり 

 

教育者。教育デザインラボ代表理事。著書執筆・講演活動を通じて、学力向上のノウハウ、社会で活用できるスキルやマインドの習得法を伝える。『ぐんぐん伸びる子は何が違うのか?』(学研プラス)など著書多数。