通学に使われることも多い自転車。しかし危険な乗り方をする生徒が多く、乗り方には課題が残る。安全に乗るためには、何に気を付ければよいのだろうか。(黒澤真紀、椎木里咲)

「1日置きに『お叱り』の電話が…」

全校生徒の7割が自転車通学をするある高校の教員は、生徒の「運転マナー」に頭を悩ませる。「近隣住民から、『生徒が自転車で並走している』『一時停止していない』など、多い時は1日置きに『お叱り』の電話がかかってくるんです」

一時停止を無視する生徒も

同校は生徒に向けて自転車マナーの啓発活動を行っているが、なかなか浸透しないのが実情だという。

歩道を並走する自転車にヒヤリ「慌ててよけた」

読者のアヤカさん(仮名・2年)は、並走する自転車にぶつかりかけた。「歩道を歩いていたら、正面から複数の自転車が横並びで走ってきた。慌ててよけました」

高校生は「一時停止の無視」多数、5万円以下の罰金の場合も

昨年11月の法改正では、自転車運転に対する取り締まりが強化されたが、いまだに危険な運転をする人が多い。全国の高校で自転車の安全講習を行う遠藤まさ子さんは「未成年は一時停止を無視するケースが多い」と話す。

「一時停止の標識がある交差点で止まらずに進むと、事故のリスクが非常に高まります。例えば道路交通法の『安全運転義務違反』となった場合、5万円以下の罰金が科される場合があります」

並列走行についても問題視する。「自転車は基本的に一列走行が義務付けられています。並列走行は他の車両や歩行者にとってとても危険。並走も『道路交通法違反』となり、2万円以下の罰金が科されることがあります」。

「安全確認」と「一時停止」を忘れずに

全国的に、自転車と車の事故の約6割は交差点での出会い頭の事故だ。信号の有無にかかわらず、自転車運転者が「安全確認」と「一時停止」を徹底すれば事故のリスクを大幅に減る。

 

 

えんどう・まさこ
自転車ジャーナリスト。自転車の安全な乗り方について啓発活動を行う「自転車の安全利用促進委員会」で委員を務める。新聞やテレビ番組などで、自転車の利用や安全指導について解説するほか、全国の高校生や教員に向けて自転車通学指導セミナーを開催している。