桃山高校(京都)の3年生3人は、マメ科の植物にできるこぶ「根粒」と、そのこぶを作る「根粒菌」について研究した。

植物が育つために欠かせない窒素は、植物のたんぱく質や葉緑素などを作り、葉や茎を大きくする性質がある。根粒菌は、直径数ミリメートルほどの根粒の中で植物と共に生き、窒素をアンモニアイオンに変えて植物に与える役割を果たしている。その働きを「窒素固定」と呼ぶ。

生育の差を示す写真を持つ中川栞さん、佐野玉緒さん、中野恵大君(左から)(審査委員長賞を受賞したSSH生徒研究発表会にて)

桃山高校の3人は、窒素固定に注目。「教科書には、窒素固定の効果を確認できる実験の写真が載っていない。自分たちで、根粒菌の働きを実感できる実験を開発しよう」と考えた。

そこで、根粒菌の影響を可視化できるように、透明な寒天培地でクローバーを育てた。「クローバーは、授業で、栄養に富んだ土壌で育つと四つ葉になりやすいと聞いて、興味を持っていました」(佐野玉緒さん、3年)

培地は「窒素入りの肥料」「窒素なしの肥料」「窒素なしの培地に根粒菌を加えたもの」の3つに分けた。1週間ごとに葉の数と根粒の数を記録して、差を比べた。

教科書に写真載せたい

8週間後、根粒菌を加えた培地のクローバーの根には、根粒が作られた。葉の数は、窒素なしの肥料で育てたクローバーより多く、窒素ありの肥料で育てたクローバーと同等となると分かった。窒素固定の働きが目で見えるようにする実験が成功した。佐野さんは「(編み出した実験方法の)写真が、教科書に掲載されるのが夢です」と語った。 (文・写真 木和田志乃)

根粒(桃山高校の発表ポスターより)