「きちんと睡眠をとっているのに疲れが抜けない」「なかなか寝付けない」。このような睡眠の悩みを抱える高校生は多い。眠りや寝具に関する専門的な知識を持つ、寝具メーカー・西川の森優奈さんに、睡眠の質を高めるアドバイスをもらった。(中田宗孝)
Q.良い睡眠をとれるようにするため、寝具はどんなものを選ぶとよいですか?
A.自分の体に合った敷き布団や枕を見つけましょう。
理想的な寝姿勢が保てているかが大事
寝具の中でも、自分に合った「敷き布団(マットレス)」と「枕」を選ぶことは、質の良い睡眠を得るために特に大切です。
まずは敷き布団について。当社が理想とする寝姿勢は、真っ直ぐ立った時の姿勢を、そのまま直角に90度、布団の上に倒した態勢です。つまり、敷き布団の上で仰向けに寝ている姿勢=自然体で直立している姿勢なのです。敷き布団を選ぶ際に、この寝姿勢が保持できているかがポイントになります。
極端に柔らかすぎる敷き布団を使うと、腰が敷き布団に沈み込みすぎてしまう可能性があります。また、敷き布団が硬すぎると、腰と敷き布団の間に手を入れられるほど腰の部分が敷き布団から浮いてしまい、腰に負担がかかってしまいます。
敷き布団が体に合っているかチェック
敷き布団を選ぶ際に「体圧分散」も確認すべきポイントです。寝た時に、腰や肩は他の身体の部位よりも敷き布団に圧力がかかります。それらの体圧を分散してくれるような敷き布団をオススメします。高校生の中には、幼い頃からずっと同じマットレス(敷き布団)を使っている人もいるのではないでしょうか。小学生の頃とは体型が変わっていたり、筋肉の付き方が変わっていたりして、今使っているマットレスが身体に合っていないかも知れません。単純に、古くなったマットレスは、腰の部分がヘタってきている可能性もあります。正しい姿勢で仰向けに寝ていても「く」の字になって寝ている状態なので、寝返りが打ちづらく、睡眠の質を低下させている可能性があります。
合わない枕を使うと肩こりに…適切な高さの枕を選ぼう
次に枕です。枕の理想的な高さがあります。壁に背中を付けて立った時、壁と頭の間に生まれる隙間。この隙間を埋めるのが枕の役割であり、枕選びの目安となる高さです。自分に合った枕を使うと、敷き布団と同じように、立ったままの姿勢をキープできるような寝姿勢になります。
枕が高すぎると、顎が下がってしまったり、低すぎると顎が上がってしまったり……。これらは、肩こりやいびきの原因に繋がります。後頭部から首にかけてのカーブを専用機器で測定して、その人に合った高さの枕を作ることができるオーダーメイド枕のサービスもあります。当社が販売するロングセラーの枕商品には、肩のこりやすい人、横向き寝の多い人などに特化した「医師がすすめる健康枕」シリーズもあります。自分にぴったりの枕を使うようにしましょう。
森優奈さん(西川)
西川・日本睡眠科学研究所認定のスリープマスター。寝具選びのコンサルティング、快適な睡眠環境づくりのアドバイスを行う。眠りについての情報発信を行い、テレビ・雑誌・新聞などの取材対応を含む広報を担当する。