教育学部は、基本的に学校教員の育成を目的とした教員養成課程で、卒業と同時に、教員免許が取得できます。教員になるためには具体的にどのようなことを学ぶのか、教育学を学ぶことでどのようなことが身につくのかを、東京学芸大学副学長の佐々木幸寿教授に聞いた。(安永美穂)

国公立大では約8割が教職に

――教育学部の学生のうち、実際に教職に就く学生はどれくらいいるのでしょうか?

教員養成課程を開設している学部もあれば、教育学の研究のみを行っている学部もあるため、一概には言えません。ただ、国立の教員養成系大学・学部であれば、約8割が教職に就いていると考えてよいでしょう。

教職以外の進路としては、公務員になったり、民間の教育関連の企業に就職したりするほか、自分の専門分野を深めるために大学院に進学する人もいます。また、4年制大学を卒業後、教職大学院で2年間学んだ後に教職に就く人もいます。

 

教職大学院で学ぶ道も

――教職大学院ではどのようなことを学ぶのでしょうか。

教職大学院は、「分かりやすく教える」という教師としての基礎的な力を4年制大学で身につけた後に、さらに将来、学校や地域においてリーダーとして活躍できる人を養成することを目的として設置されています。具体的には、アクティブ・ラーニングの視点を重視た授業研究、校内研修の進め方や新人教員の育成の仕方、教科教育と教科専門を融合した高度な実践的指導力の育成を進めるなどプロとしての教師を育成しています。

教職大学院は、4年制大学を卒業後すぐに進学することもできますし、教育現場で経験を積んだ現職の教員がさらなるスキルアップを目指して通うケースもあります。4年制大学を卒業する時点で教員採用試験に合格していれば、教職大学院在学中の2年間は採用を延長してもらえる制度もあり、この制度を活用すれば採用試験の心配をせずに学修に専念することができます。

佐々木幸寿教授(東京学芸大学副学長)
ささき・こうじゅ

 

水沢高校(岩手)卒業。東北大学経済学部卒業。東北大学大学院教育学研究科博士課程修了。博士(教育学)。専攻は学校法学、教育行政学。岩手県内の公立高校で地歴・公民を教え、野球部の監督を務めた経験を持つ。