教育学部は、基本的に学校教員の育成を目的とした教員養成課程で、卒業と同時に、教員免許が取得できます。教員になるためには具体的にどのようなことを学ぶのか、教育学を学ぶことでどのようなことが身につくのかを、東京学芸大学副学長の佐々木幸寿教授に聞いた。(安永美穂)

先輩教員が指導

――大学卒業後、教師になるにはどのようなステップを踏めばよいのでしょうか?

教員免許を取得できる見込みになったら、公立校での勤務を希望する場合は各自治体が実施する教員採用試験を、私立校での勤務を希望する場合は各法人や学校の採用試験を受験します。公立校の場合は、教員採用試験に合格すると各自治体の「教員採用候補者名簿」に名前が登載され、その中から各校の必要に応じて採用されて、どの学校に赴任するかが決定するという流れになります。

小学校では初年度から担任を持つケースもありますが、多くの自治体は校内・校外での初任者研修で基礎的な実践力を身につけさせるように配慮しています。校内では、指導教員が割り当てられて個別に相談できる制度が設けられていることが多いので、有効に活用するとよいでしょう。

 

面接で人間性問われる

――教員採用試験はどんなことを問われるのでしょうか?

各自治体が実施する教員採用試験は、1次試験で教職科目(教育法規など)・専門科目(各校種・教科についての専門知識など)・論文(教職への考え方など)の試験が課され、2次試験で面接が行われるのが一般的です。1次試験は大学の教職科目で学んだ内容をしっかりと身につけておけば対応できます。2次試験の面接では、ペーパーテストだけでは測れない人間性やコミュニケーション能力が問われることとなります。

――採用試験に不合格になってしまった場合はどうすればよいのでしょうか?

期限付き任用や非常勤講師として教育現場で働きながら、次回の教員採用試験に備えて勉強を続け、翌年もう一度受験するという人が多いようです。長い目で見れば、教育現場で子どもたちと実際にふれ合う経験を積みながら学ぶことは、教師になる上で糧になる経験だといえるでしょう。

佐々木幸寿教授(東京学芸大学副学長)
ささき・こうじゅ

 

水沢高校(岩手)卒業。東北大学経済学部卒業。東北大学大学院教育学研究科博士課程修了。博士(教育学)。専攻は学校法学、教育行政学。岩手県内の公立高校で地歴・公民を教え、野球部の監督を務めた経験を持つ。