高校生世代の女子にとって生理痛や冷え性は身近な悩みだ。対策や病院を受診すべきタイミングについて産婦人科が専門の加藤聖子先生に聞いた。(野口涼)

Q.男性が女性の身体について知っておいたほうが良いことは?

A.月経前の心の不安定、月経中の痛みがあるということをまずは理解してください。

1カ月の多くを不快な症状と過ごす

日本では、女性の身体の仕組みについて、男性はまだまだ学ぶ機会が残念ながら少ないのが実情です。月経前症候群(PMS)といって、月経前の女性はイライラしたり気分が落ち込んだりします。月経中は痛みや経血の処理など、不快な症状と付き合わなければなりません。生理期間の3~7日間、生理前1週間はPMS…1カ月の多くの時間を、気分の落ち込みや痛みなどと向き合っているということになるのです。

 

初経(初めての月経)を迎えて以降、女性の心と身体は卵巣から分泌される性ステロイドホルモンの影響によって周期的に変化すること、しかしそれは女性の体の正常な変化であることを、まずは認識し理解をしてもらいたいと思います。

 

人によって痛みの度合いが違う

もうひとつ理解してほしいのは、こういった変化はほとんどの女性に起こるものの、症状の程度には個人差があるということです。月経周期や経血の量も人それぞれですし、月経周期が安定しない月経不順の状態に悩んでいる人もいます。

学校を休まなければならないほどのつらい月経痛に悩んでいる人がいる一方、普段と変わりなく生活できる人もいます。例えば、同じ部活の部員が月経痛で苦しんでいる様子を見て、「自分の姉は月経中でも普通に生活している。だから部活を休みたくて甘えているのでは」なんて考えは、くれぐれもしないでくださいね。

これからパートナーができた時、月経痛で苦しんだり精神的に不安定になったりする女性のつらさ、不調、しんどさを理解し、寄り添えるようになってもらいたいです。

 

加藤聖子先生 

かとう・きよこ 九州大学大学院医学研究院生殖病態生理学分野(産科婦人科)教授。