医師になるには、医学部へ進学することが必須だ。何をどのように学んでいるのだろうか。京都府立医科大学教育センター長の山脇正永教授に、医学部についての疑問に答えてもらった。(木和田志乃)
卒業後は病院で修業
――医学部の卒業生の進路を教えてください。
卒業するとほとんどが臨床医(患者に接し診察や治療をする医師)になります。医師免許を取得し、大学を卒業すると2年間、大学病院や臨床研修病院などで「臨床研修」を行います。
臨床研修のプログラムは、病院ごとに違います。本学の附属病院を例に説明すると、消化器、循環器、呼吸器などの内科、麻酔科、救急での研修が必修です。その上で、さまざまな診療科で幅広く学ぶことを目的にしたプログラムや、小児科や産科に重点を置いたプログラムがあります。
研修先はコンピュータで決まる
――研修先はどうやって決まるのですか?
研修先の病院とプログラムは、コンピュータで全国一斉に決定する「医師臨床研修マッチング」を利用して決めます。この仕組みで、6年生の時に各自の希望を踏まえて研修希望者と研修病院の組み合わせが決まります。ちなみに本学の大学附属病院は、国内で最も人気のある病院の1つとなっています。
研修を修了すると臨床医として専門医のトレーニングを始めることができるようになります。本学では基礎医学の研究者になろうとする人も毎年数人いますが、臨床研修を経てから研究の道に進みます。時には医師免許を取得した上で製薬会社に就職して創薬の研究をする人、ヘルスケア関係のベンチャー企業に就職したり、起業する人など、数は少ないですが、さまざまな道が開かれています。
女性は医師に不向きではない
――女子学生を入試で不当に扱う大学があり、問題になりました。
昨年、一部の医学部の入試で女子の得点が不自然に操作される事態が発覚しましたね。その際、女性は医者に不向きであるかのようなことがその操作の理由とされましたが、医師としての能力に男女に違いはありません。
例えばコミュニケーションについて、女性医師の方が「話しやすい」という患者さんの声もありますし、女性特有の疾患への理解も高いと思います。今は働き方改革も進んでいますし、女性医師が働きやすい環境も整ってきています。
山脇正永教授
京都府立医科大学教育センター長、同大総合医療・医学教育学教室教授
やまわき・まさなが 1988年東京医科歯科大学医学部卒業。2011年より現職。日本神経学会神経内科専門医、日本内科学会総合内科専門医、日本医学教育学会認定医学教育専門家。