医師になるには、医学部へ進学することが必須だ。何をどのように学んでいるのだろうか。京都府立医科大学教育センター長の山脇正永教授に、医学部についての疑問に答えてもらった。(木和田志乃)

3分野に分かれ病気を研究

――医学とはどんな学問ですか?

医学とは人間、特に人間の病気を対象とする学問です。分野は大きく基礎医学、社会医学、臨床医学の3領域に分かれています。

基礎医学は、解剖学や生理学、病理学など、人間の体の構造や機能を究明する学問で、なぜ病気になるのかを理解します。社会医学は、住民などの集団が対象の研究で、社会や保健衛生との関わりの中で健康について考えます。実際に患者さんに接して診断・治療を行う領域が、臨床医学です。

臨床医(患者に接して治療や診察をする医師)が基礎医学を一時的に研究することも多いですし、社会医学の研究者が臨床研究に関わるなど、領域を横断して研究が行われることもあります。

医学は3領域に分かれている

物理や生物、心理学とも関連

――ほかの学問分野との関連はありますか?

医学の対象は、心臓や消化器などの内臓から精神まで、さまざまです。生物学や化学、神経科学(ニューロサイエンス)や心理学と共通している部分もあります。

医療の現場では、放射線や磁気、超音波などを利用して画像を撮影することがあります。これらの性質を知らなければ、画像を見ても何を見ているのか分かりません。ミクロの世界では量子的な面まで探ることが必要になることもあるため、物理学とも重なる部分もあります。

――医学を学ぶと、どんなことが分かるのでしょうか。

他分野との結びつきがあるとはいえ、医学は病気に関する学びが中心です。医学を学ぶと病気に関する知識が身に付き、人間を物質的にも精神的にも追究でき、より深く知ることができるのが魅力です。もちろん病気で苦しむ人を助けられるやりがいもあります。

山脇正永教授 
京都府立医科大学教育センター長、同大総合医療・医学教育学教室教授

 

やまわき・まさなが 1988年東京医科歯科大学医学部卒業。2011年より現職。日本神経学会神経内科専門医、日本内科学会総合内科専門医、日本医学教育学会認定医学教育専門家。