親子関係に悩んだときは、どのような考え方をしてどう対処すればよいのか、発達心理学を専門とする菅原ますみ教授(お茶の水女子大学)に聞いた。(安永美穂)

Q.僕は中学生の頃から両親と何度も衝突しています。高校に入り、僕がさまざまな課外活動に挑戦しようとすると、毎回「頑張って」とは言ってくれますが、失敗するたびに「やっぱりね」というような表情をされます。自分の実力が足りない面もあるのですが、親が自分のことを信頼してくれない現状に憤っています。(男子1年)

A.自分を応援してくれる他の理解者を見つけよう

ダメージを減らせるよう予測を

 

もうすぐ自立を迎える高校生の時期に、さまざまなことに挑戦しようと思える意欲があるのは素晴らしいことです。その気持ちがしぼんでしまわないように、ご両親に対しては「いつか分かってね」という淡い期待を寄せる程度にして、自分の失敗や悩みを聞いてくれてチャレンジを応援してくれる他の人を探してみましょう。

そうは言っても、ご両親と話をする場面を完全に避けるのは難しいかもしれません。その場合、これまでのやり取りを踏まえて「こういう話をしたら、またこう言われるだろうな」ということをある程度予想して、最悪の反応を引き出さないように気をつけようと思いながら話すと、あなたの伝え方も冷静さを保つことができて、受けるダメージを減らせるはずです。また、結果的に失敗したりやめたりすることになったとしても、自分にとって良い経験になったことや楽しかったこともたくさんあったことを明るく伝えるようにすると、両親に与える印象も少し変わってくるのではないでしょうか。

菅原ますみ教授

 

すがわら・ますみ お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科教授。専門は発達心理学、発達精神病理学。国立精神・神経センター精神保健研究所 家族・地域研究室長などを歴任。