親子関係に悩んだときは、どのような考え方をしてどう対処すればよいのか、発達心理学を専門とする菅原ますみ教授(お茶の水女子大学)に聞いた。(安永美穂)

Q.私には弟がいます。そのため、幼いころから「お姉ちゃんなんだから」とたくさん我慢をさせられたり、私が悪いことをしたわけではないのに怒られたりしてきました。両親はどちらも末っ子なので、上の子の気持ちが分かっていないんだろうなと思います。(1年女子)

A.自分で自分を肯定する視点を持とう

あなたは悪くない

 

悪いことをしていないのに怒られるというのは、あなた自身に非があるのではなく、不適切な対処をしてしまう親の方の問題なので、「怒られた」という点を重く受け止めて自己評価を下げる必要はありません。

両親がなぜ「お姉ちゃんだから」という言い方をしてしまうのかを考え、あまり深い意味はなく、単なる口癖のレベルであるなら、「そういう言い方ばかりされると傷つくよ」ということを伝えてみてもよいかもしれません。

でも、あなたに「弟の面倒をみる親役割を引き受けてほしい」というご両親の思いが強過ぎる場合は、ストレートな伝え方をすると口論になってしまうおそれもあります。その場合は、両親に理解を求める前にまず、「自分としてやるべきことはよくやっている」と自分で自分を肯定して落ち着いたうえで、親の理不尽な言動やリクエストには、それは申し訳ないけどやっぱり私にはできない、とタイミングをみながら冷静に伝えるようにしてみましょう。

菅原ますみ教授

 

すがわら・ますみ お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科教授。専門は発達心理学、発達精神病理学。国立精神・神経センター精神保健研究所 家族・地域研究室長などを歴任。