将来の夢や卒業後の進路に思いをはせる一方で、焦りや不安の気持ちが募ることがある。女優を夢見た、まだ何者でもなかった吉岡里帆さんもその一人。決断の時、不安な時、挑戦を決めた時、吉岡さんがどうしてきたのか聞いた。(文・中田宗孝、撮影・幡原裕治)
女優の夢、諦めず
何かの決断や選択を迫られた時、常に心めぐらす思いがあるという。「自分の選択が誰かを傷つけていないか、嫌な思いをさせてないだろうかと性格的に気にしてしまうんです」
そんな思いを胸に、悩みながらも女優への憧れが吉岡さんを突き動かした。「上京は人生の大きな選択で。目的は女優になること『だけ』でした」
女優を目指して行動を起こした結果、それが人生の転機となった。「(女優を諦めて)後悔したくない思いが強かった。やらないより、失敗してもやってみる精神です!」
時には立ち止まって
女優になる夢を実現させると、自分の未熟な演技力が気になり始めた。「一つの作品を終えるたびに『次はもっと演技を頑張らないと』『もっと高みを目指そう』と焦っていた時期もありました」
不安をどう乗り越えたのだろうか。「それは演技が好き! って気持ち。撮影の現場で失敗もたくさんしましたが、好きって気持ちが上回るんです。新たな挑戦をする時、心の中では逆境をわりと楽しみながら、いろいろな壁と戦っている気がします(笑)」
夢や目標にまい進する高校生には「時には立ち止まるのもあり」とアドバイスを送る。「ふと後ろを振り返り、自分の大切な人たちのことを思い出してみてください。振り返ったり立ち止まったりするのは、『弱さ』ではなくすてきなことですよ」
優しさ、強さのある声で
劇場版アニメ「空の青さを知る人よ」では、多感な高校生の妹・あおいを見守る姉・相生あかねの声を担当した。何度か声優の経験はあったが、「毎回、怖さに近いプレッシャーを感じてます」
監督からは「アニメ声をつくらないで、自分の声を生かして心を込めて演じてほしい」と伝えられたという。「なので、台本を読んだ後の素直な気持ちを声で表現しようと思いました」。声を吹き込むキャラクターは「強い女性。でも、カッコいい強さではないんです」。声の収録本番では「優しさの中に強さのある女性というイメージを膨らませて声を乗せました」
Q&A 高校時代は国語が得意
Q.高校時代の得意科目は?
A.国語です。現代文だけではなく、古典や漢文も好きでしたね。周りから『国語だけなら天下取れる』って言われたこともあります(笑)
Q.実践した受験勉強法を教えてください。
A.どんな教科にも当てはまると思うのですが、むやみやたらに手を付けないことを意識しました。教科ごとに自分に足りない部分、課題を見つけて勉強しました。受験勉強のための取捨選択ですね。そして、慌てず、冷静に。この心持ちも大事。
Q.もう一度、高校生に戻れるなら?
A.膝にアザをつくらないようにする!(笑) 高校生の頃、丁寧に生活しておけばと今になって思います。体育の授業の時、はだしで走ったりもしたので……。カメラの前に立つ時、当時のあざが多くて本当に恥ずかしいんですよ(笑)。 あと、たくさん食べるのも止めたい。高校生に戻って身体のケアをやり直したいです(笑)
空の青さを知る人よ
高校生のあおい(声:若山詩音)は、姉のあかね(声:吉岡里帆)にずっと負い目を感じていた。両親を亡くして以来、自分を支えるため、姉が恋愛や夢を諦めたと思っていたのだ。そんなある日、姉妹は、あかねの元恋人の慎之介(声:吉沢亮)と再会するのだが……。配給:東宝。10月11日より全国東宝系で公開。
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