大学の社会学部や社会学科では、高校で習う社会科の範囲に限らず、この社会で起きているあらゆることについて考察を深めることができる。社会学とはどのような学問で、どのような研究が行われているのか、中村英代教授(日本大学文理学部社会学科)に聞いた。(文・写真 安永美穂、取材協力 関東社会学会)
マスコミなど多様な道へ
――卒業生の就職先は?
マスコミやメディア関連の仕事を目指す学生が多い傾向がありますが、金融・保険、流通・サービス、運輸交通・旅行、メーカー、公務員など、就職先は多種多様です。所定の科目を修得すれば中学校(社会)、高校(公民)の教員免許も取得できるので、教師になる人もいます。また、社会学の調査の手法を身につけたことを生かして、調査会社や研究機関に就職する人もいます。
――社会調査士とはどんな資格ですか?
社会調査士は、社会調査(アンケート調査やインタビュー調査など)の企画から実施、分析に至るまでに必要な知識と技能を持つ「調査の専門家」と認定された人に与えられる資格です。資格認定に必要な科目を大学で履修し、大学卒業時に申請すれば取得できます。大学院でさらに専門的な知識や技術を身につけた人を対象とした「専門社会調査士」の資格もあります。
社会調査士は資格を持っているだけで食べていけるわけではありませんが、調査関連の企業や研究機関などへの就職を希望する際に自分をアピールできる材料になります。
社会調査士の資格を目指して科目を履修している人は、大学3年次に資格取得予定であるとして「社会調査士(キャンディデイト)」の認定が受けられ、就職活動の際に履歴書に記載することも可能です。将来どのような仕事に就いたとしても、正確な調査を行うための知識と技能が身についていることは強みになるでしょう。
中村英代教授(日本大学文理学部社会学科 教授)
なかむら・ひでよ 東京都出身。お茶の水女子大学文教育学部卒。お茶の水女子大学大学院人間文化研究科博士後期課程単位取得満期退学。博士(社会科学)。専門は臨床社会学、社会問題論、ジェンダー論。専門社会調査士・社会福祉士。