大学の社会学部や社会学科では、高校で習う社会科の範囲に限らず、この社会で起きているあらゆることについて考察を深めることができる。社会学とはどのような学問で、どのような研究が行われているのか、中村英代教授(日本大学文理学部社会学科)に聞いた。(文・写真 安永美穂、取材協力 関東社会学会)

規模や雰囲気を確かめて

――「社会学部」がある大学もあれば、人文学部などの中に「社会学科」がある大学もあります。どのような点に留意して選べばよいですか?

学生同士で合宿の計画(日本大学提供)

大学や教員により一概には言えませんが、社会学はあらゆる領域を対象とする学問なので、学部や学科の規模に関わらず、一人ひとりの学生が興味のあるテーマを研究できるように配慮されているケースが多いように思います。

ただ、一学年の人数や授業を受け持つ教員の数によって、大人数での講義が多いのか、少人数でじっくり話し合う演習が多いのかといった違いが生じる可能性はあります。オープンキャンパスなどで実際に大学に足を運び、どのような規模の学部・学科なのか、雰囲気が自分に合っていそうかということは確認しておくとよいでしょう。

実学志向の人は向いてない

なお、社会について考察する中で、法律や経済などの知識を扱ったり、統計学の手法により調査結果を分析したりすることはありますが、社会学部や社会学科はこれらの実学を学ぶことを目的とはしていません。

司法試験や公認会計士試験などの資格試験に合格したい、会計などの専門知識を身につけたい、統計学や情報工学などを深く学んで理系分野で活躍したいといった実学志向の人は、法学部、経済学部、経営学部、商学部、工学部(理工学部)など、それぞれの専門分野を学べる学部を選ぶことをおすすめします。

中村英代教授(日本大学文理学部社会学科 教授)

 

なかむら・ひでよ 東京都出身。お茶の水女子大学文教育学部卒。お茶の水女子大学大学院人間文化研究科博士後期課程単位取得満期退学。博士(社会科学)。専門は臨床社会学、社会問題論、ジェンダー論。専門社会調査士・社会福祉士。