全国高校総体(インターハイ)の体操男子団体総合で、市船橋(千葉)を2年連続6度目の優勝に導いた橋本大輝(3年)。今年度はシニアの国内主要大会でも目覚ましい結果を残し、来月ドイツで行われる世界選手権に高校生としては史上2人目となる日本代表に選ばれた。 (文・写真 小野哲史)

体が自然に動く

高校生としては史上2人目の世界選手権日本代表となった橋本大輝

中学までは大会直前のけがなどもあり、目立った活躍ができなかった。それが高校入学以降、特に2年次から一気に飛躍。その要因を自身は「1日1日の練習をどうやるか。しっかり考えるようになってから技術が向上し、精神面もコントロールできるようになった」と分析する。「レベルの高い先輩やチームメートに刺激を受けてきた」ことも大きいと言う。

大竹秀一監督が「練習量は人一倍。常に全力投球でストイック」と評するように、厳しい練習も苦にしない。

「体操がとにかく楽しい。順番待ちをしているときはうずうずしています。練習がきついときもありますが、体が自然と動いてしまうんです」と橋本。10回という課題があれば、自ら14、15回と多めに取り組み、爪先や指先までピンと伸ばす。そうした高い意識が、中学までに身に付けた土台と合致し、橋本を世代トップ選手へと押し上げた。

誰よりも多く声出し

キャプテンでもある橋本は、日頃から練習の雰囲気を大事にしている。練習中は誰よりも多く「がんばー!」と声を出し、チームメートの動きを見て、気付いたことはすぐに指摘する。「雰囲気が良いと、良い動きを出しやすくなるし、人に教えることで自分の技の再確認ができるからです」

個人競技の体操にあって、橋本が団体総合での結果にこだわるのも、チームを強く意識している表れだ。「これまで体操をやってきて感じるのは、人と人とのつながり。今までの先生や家族、仲間の存在が今の自分をつくってくれたと思っています」

楽しんで学ぶ

間もなく迎える世界選手権。橋本に「高校生だから」という思いはなく、「戦えるときに戦っていかないと、いつまたチャンスがあるか分かりません」と固い決意を見せる。ただ、「プレッシャーを抱くより、楽しんでいろいろ学びたい」とも話し、この経験が来年の東京五輪へつながると信じている。

Q&A 赤いパンツはいて気合

(プロフィール)はしもと・だいき 2001年8月7日、千葉県生まれ。佐原中卒。2人の兄の影響で6歳から体操を始める。18年アジアジュニア選手権でゆかとあん馬の2冠。インターハイ団体総合優勝、個人総合2位。19年全日本選手権7位、NHK杯6位など。得意種目はあん馬、跳馬、鉄棒。164センチ、54キロ。

Q 好きな食べ物は?

A 焼き肉が好きです。

Q 大会前にするリラックス法や気合を入れる方法は?

A リラックスしたいときはお風呂に長めに入って、睡眠をとります。気合を入れるときは前夜に赤いパンツをはいて寝ます。

Q ここぞという時に力を発揮するには?

A 自分のやってきたことを信じて臨むことです。先生も「お前が一番練習している」と言ってくれるし、自分が自信を持って引っ張らないと仲間が付いて来られません。

Q 集中力を高めるコツは?

A 目をつぶって深呼吸します。試合になったら別人になったつもりでいます。

Q 好きな教科は?

A 勉強はあまり得意ではありませんが、テストで点数を取れるのは英語です。英文の物語を読むのは楽しいので。

Q オフの日のすごし方は?

A 出掛けることもありますが、YouTubeで企画ものの番組を見るのが好きです。