「美しい体操」が持ち味の杉原。平均台と床を得意としている

昨年のリオデジャネイロ五輪に高校2年生ながら出場し、日本の体操女子団体4位入賞に貢献した杉原愛子(東京・藤村女3年)。高校1年から世界の舞台で活躍し、大きく成長を遂げた。目指すは、2020年東京五輪での団体、そして個人総合の金メダルだ。(文・写真 斉藤健仁)

親元離れ「自立心出た」

体操一家に生まれ、姉の影響で「見ていて楽しそう!」と4歳から始めた。中学3年時には全日本ジュニア選手権で優勝し、頭角を現す。15年12月に「より良い環境で練習したい」と拠点を東京に移し、16年4月に大阪の高校から転校。アテネ五輪金メダリストで朝日生命体操クラブの塚原直也氏から指導を受けるためだった。

現在は他の選手と3人暮らし。食事は作ってもらえるが、掃除や洗濯は自らやる。学校と午後4時からの練習でほぼ一日が終わる中、親元を離れたことで「自立心が出てきた」という。練習計画を自分で立て、睡眠は毎日8時間と決めている。

右膝手術乗り越えリオへ

15年11月、右膝の手術を受けてからはリハビリの日々だった。「周りがレベルアップしていく中、焦る気持ちはあったが、再びけがをしてはいけない」と、自分と向き合った。

翌年3月に復帰し、4月の全日本選手権と5月のNHK杯で3位に入賞し、夢だった五輪への切符を手にした。「国際大会に出場して意識が変わった。前より強い気持ちを持つことができるようになった」

チーム最年少で出場したリオ五輪は「うれしかったが、悔しさもあった」。大会後、「このままでは絶対メダルが取れない。東京五輪までに技のレベルを上げつつ、美しい体操で頑張りたい」と先を見据える。

人が見とれる演技を

すでに得意の平均台では爪先立ちでターンを2度する新技を決めるなど成長を見せている。「女子ならではの魅せる部分もあるので、人が楽しめる、見とれるような演技をしたい」と抱負を語る。

2度目となる東京五輪は20歳で迎える。「リオで雰囲気が分かった。(体操選手として)一番いい時期なので、エースとして団体と個人で金メダルを目指したい!」。見つめるのは、東京五輪での世界の頂点のみだ。

 
【すぎはら・あいこ】
1999年9月19日、大阪府生まれ。大阪・羽衣学園中卒。朝日生命体操クラブ所属。2014年の全日本ジュニア、15年のNHK杯、アジア選手権個人総合で優勝。同年、世界選手権に初出場。身長150.5センチ、体重40キロ。

Q&A 数学と生物が好き

──オフの日は何をしている?

オフはありません。気分転換に長風呂して歌を歌ったり、面白い動画を見たりしてリラックスしています。

──競技前に緊張しないようにしていることは?

ホテルにいるときや、ウオーミングアップが始まる前に音楽を聴いています。最近はまっているのは平井大さんですね。あと、関ジャニ∞が大好きです。たっちょん(大倉忠義)とヤス(安田章大)が好きです。

──国際大会のプレッシャーをはねのけるためにやっていることは?

(金メダリストで朝日生命体操クラブ総監督の)塚原光男先生から「五輪を特別の日と思わずに、いつもの練習の日と同じ気持ちでやりなさい」と言われて、五輪本番ではそれができました。「五輪だから、めっちゃ頑張らなあかん」とならずに落ち着けたので、いい演技ができたと思います。

──好きな食べ物は?

お肉とチョコレート、野菜が好きです。嫌いなのは固形のチーズ。ピザのチーズは大丈夫です(笑)。

──得意な教科は?

あまり点数は取れないけど、数学と生物が好きですね。体操は数学に近い部分があると思います。「何で、こうしたらこうなる」とか理解してからやるのが好き。暗記はあまり得意ではないです。

──好きな言葉は?

「人事を尽くして天命を待つ」です。