高校生から寄せられた悩みに対し、高校でスクールカウンセラーを務める公認心理師・臨床心理士の斯波涼介さんにアドバイスしてもらった。(安永美穂)

お悩み→運動が苦手で周りに迷惑をかけてしまう

体育の授業のとき、運動がとても苦手なので班のみんなに迷惑をかけてしまいます。特に試合中に失敗したりすると、「今のはどう思われたんだろう」などとずっと考えてしまうし、逆に少しでも成功すると調子に乗ってるって思われるんじゃないかという気がして、どんどん動けなくなっていきます。それでまた班の人に迷惑をかけてしまうという悪循環に陥り、ストレスを感じます。(高校2年)

A. 自分の不安ばかりに目を向けず、相手の言葉を信じよう。

このような場合は、「自分が逆の立場だったらどう感じるか」を考えてみましょう。同じ班に何かが苦手な人がいたからといって、その人のことを責めようと思う人はあまりいないのではないでしょうか。それは周囲の友達も同じであって、たとえ足を引っ張られることがあったとしても、そこまで迷惑とは感じていないことが多いものです。

どうしても気になる場合は、「私はこれが苦手で迷惑をかけてごめんね」ということを正直に伝えてみましょう。多くの場合、相手は「大丈夫だよ」「頑張ってるよね」と励ましの言葉をかけてくれるでしょうから、そのときは相手の言葉をそのまま信じることが大切です。ここで、「そうは言っても内心は迷惑だと思っているはず」という受け取り方をしてしまうと、自分の心の中にある不安ばかりに目が向き、相手を信じていないということになってしまいます。もしも、相手が「お前のせいだ」と言ってくるような人だった場合は、その人と友達関係を築く必要があるのかを考え直せばよいのであって、やはり自分を責める必要はありません。

 

斯波涼介さん

 

しば・りょうすけ 公認心理師・臨床心理士。公立高校のスクールカウンセラー、障害者施設やカウンセリングルームなどで相談や検査の仕事をしている。