ペットボトルや包装材、レジ袋といったプラスチックごみへの取り組みが世界的な課題となっている。先ごろ長野県で開催された20カ国・地域(G20)エネルギー・環境相会合は「海のプラごみ対策で国際枠組みを構築する」ことで合意。政府は来年4月からのレジ袋有料義務化の方針を打ち出した。

数値目標は盛り込まず

 

各国は適正な廃棄物の処理や海に出たプラごみの回収など自主的な削減に取り組み、内容を定期的に報告して対策を共有することが目的。海のプラごみ対策に特化した国際的な枠組みができるのは初めてだが、削減の数値目標は盛り込まれず、実効性をどう確保するかが課題となる。

 

海の生き物の被害深刻

プラごみは、世界で年3億トンが出るとの試算がある。全量を回収して管理することは不可能だが、いったん環境中に出れば極めて長期間、分解されず、一部が海に入るだけで膨大な量がたまる。

海に到達したプラごみは、ウミガメや魚、海鳥が餌と間違えて飲み込んだり、絡まって窒息死することもある。また、海を漂っている間に壊れてできる微細なマイクロプラスチックの被害も深刻で、有害な化学物質を吸着し、取り込んだ生物の体内に蓄積することが貝などの調査で確認されている。

日本は処理しきれず

昨年6月の先進7カ国首脳会議で海のプラごみ削減に向けた数値目標を盛り込んだ「海洋プラスチック憲章」がまとまったが、日本と米国は署名せず非難を浴びた。

 

日本のプラごみ総排出量は近年約900万トン台で推移。国内で処理しきれない年間100万トン以上のプラごみを新興国などへ輸出してきたが、主要輸出国の中国が2017年末に輸入を原則禁止したため行き場を失い、国内での処理方法が課題となっている。環境省は民間施設を増設する政策を進めているが、汚れたプラごみの洗浄に掛かるコスト増が懸案だ。

来春からレジ袋有料に

 

G20メンバー国をはじめ多くの国は既に使い捨てプラ製品の使用禁止など厳しい姿勢を打ち出しているが、日本はこれまで及び腰で世界の潮流に後れを取っている。政府は来年4月からのレジ袋有料義務化の方針をようやく表明した。