新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行以降、最前線で働いているのが医療従事者だ。人々の健康的な生活を支える「看護師」の仕事に憧れる高校生や、「看護の仕事で人の役に立ちたい」という思いをより強くした高校生は多いだろう。看護の仕事の現状を紹介しよう。 

 

 

看護師の仕事とは

看護師は主に医師の指示に基づいて、診察や治療の補助、入院患者の看護や援助をするのが主な仕事だ。具体的には血圧・体温などの測定、注射、点滴、採血や、食事や入浴などの手伝い、担当患者の記録を付けて医師や同僚の看護師への報告など多くの仕事がある。患者の家族への対応も看護師に任される。医療スタッフの中で患者と接する時間がもっとも長いため、責任もやりがいも大きい。

需要が高まる看護師の仕事

2025年には1947~49年の第1次ベビーブームに生まれた人がすべて後期高齢者になる超高齢社会を迎える。国の「社会保障・税一体改革の試算(2013年)」ではこの時期、医療費削減のために患者1人当たりの在院日数が短くなることで訪問看護の必要性が高まり、約200万人の看護職員が必要になると見積もられている。2020年末の看護師の数は約約128万人で、看護職員は毎年およそ6万人ペースで増えているものの、このままでは必要とされる人手を確保することが難しいのが現状だ。この差をどのように埋めるのかが大きな課題となっている。

それに加え、現在は突然のコロナ禍により看護師の需要が激増している。厚生労働省が2020年5月8日に出した「新型コロナウイルス感染の拡大に対応する医療人材の確保の考え方及び関係する支援メニューについて」では、現場で働く医療従事者の負担軽減とニーズ増大に対応するために、「潜在看護職」の復職を促すよう都道府県などに求めた。

「潜在看護職」とは、子育てや介護などの理由で離職した後、現在は看護師として働いていない有資格者のことを指す。この要請を受けて、2020年4月から1年の間に約3500人が復職したことを日本看護協会が発表した。新型コロナウイルスの影響で、看護師のニーズも急激に高まっているといえる。

 

技術の進歩で看護の負担減

負担が増え続ける看護職だが、その負担を減らすための方策の一つとして、医療ロボットやAIの活用が検討され始めている。米テキサス州では、病院で医療品をピックアップして運ぶロボットの試験運用が3つの病院で始まった。患者と対面しない業務を肩代わりし、看護師を助ける役割を果たす。国内の大学病院でも自律走行型ロボットが検体や薬剤を運ぶ実証実験が実施されるなど、新たな技術が開発されている。

またIT技術の進歩により、将来、例えばスマートフォンのアプリと血圧計などの健康機器を連動させて、データを大量に集めることができるようになると言われている。大量のデータをAIが分析することで、病気の診断や予防につなげることが可能になる。こうしたテレナーシング(遠隔看護)が注目され、特に人手不足に悩む過疎地や離島で期待が大きい。

【看護師になるには? 首都圏近郊で看護学部のある大学をチェック】
帝京平成大学(東京/千葉)
医療創生大学(福島)
東京工科大学(東京)
東京慈恵会医科大学(東京)
北里大学(神奈川)
国際医療福祉大学(神奈川/千葉)
昭和大学(神奈川)
三育学院大学(千葉)
東京情報大学(千葉)
了德寺大学(千葉)
つくば国際大学(茨城)
岩手医科大学(岩手)

人を支える仕事の代表ともいえる「看護」。技術の発展とともに、仕事内容や求められる資質も変わっていく。