経済学に興味があるけれど、実際にどんなことを学ぶのかイメージが湧かない…。そんな高校生に向けて、神戸大学経済学部の中西訓嗣教授に、経済学部についての疑問に答えてもらった。(木和田志乃)

Q.経済学部出身者は就職に有利といううわさは本当?

A. 特別に有利ではないが、経済学的なものの考え方が企業で求められている

他の文系学部に比べると、経済学部出身で企業や官公庁などで活躍している人が多数いますので、そのようなうわさが立つのかもしれません。経済学部にいるからと言って「就職に特別有利」なのかと言われると、必ずしもそうではありません。

現在、経済学的なものの考え方が重要視されています。例えば、「一つの事象から起こる影響を把握し、全体を俯瞰(ふかん)して見る視野の広さ」や「課題に対してさまざまな方向性と広がりでものを考える力」が会社で要求されているのです。そうした力を身につけられるという点では、経済学を学んだ学生は有利かもしれません。

官公庁に進む人が増加

経済学部の卒業生の多くは民間企業に就職します。神戸大学経済学部でのおおよその内訳は銀行や証券、保険といった金融系に約3割、製造業が約2割です。そのほか、国家公務員や地方公務員などの官公庁、情報通信関係に進む人がこの15年の間に増えています。

在学中から資格試験にチャレンジする学生もいます。公認会計士や税理士のほか、金融系志望者の少なくない人数がファイナンシャルプランナーなどの資格試験の勉強をしています。

 

中西訓嗣教授(神戸大学大学院経済学研究科長・経済学部長)

なかにし・のりつぐ 広高校(広島)出身。広島大学経済学部卒。神戸大学大学院経済学研究科博士課程後期課程修了。経済学博士。専門は国際経済学。時差がサービスの国際貿易に果たす役割に関心。