5月の神奈川県大会では、400メートルを53秒99の大会新記録で制した高島咲季

高島咲季(神奈川・相洋3年)は、昨夏の全国高校総体(インターハイ)では2年生ながら400メートルを制し、1600メートルリレーでもチームの7年ぶりの優勝に貢献した。高校最後のシーズンは、両種目の2連覇はもちろん、あと0秒79に迫った400メートルでの日本高校記録更新と、シニア選手がしのぎを削る6月の日本選手権制覇を見据える。 (文・写真 小野哲史)

練習着きちんと畳む

インターハイ優勝の栄冠をつかめたのは、「中学までは何となくやっていた冬季練習を(高校入学後は)一生懸命取り組んだ」からだと振り返る。レベルの高い先輩たちと厳しいメニューをこなしただけでなく、「練習以外の面で、他の人がいい加減にしがちな部分を丁寧にやる」ことを心掛けた。

「練習着をきれいに畳むなど、毎日の生活をきちんとする。思い込みかもしれませんが、そういうことがレースで競ったときに僅差で勝つことにつながると信じています」

冬季練習で飛躍

新チームが始動した2年生の秋に行われた地区新人大会では、思うような記録が出なかった。「インターハイの余韻が残ったまま、戦ってしまっていた感じがあった」。そこで高島は「もう一回やり直そう」と、「腕振りを意識したり、何本か走る練習では、1本ずつテーマを考えて取り組んだりする」など、再び冬季練習に力を注ぎ、レベルアップを図った。

もともと武器だった後半の走りを生かすためにスピードも磨き、それが今春の大会で成果になって表れた。顧問の銭谷満先生も「体幹がしっかりして軸がぶれないようになってきた」と、成長ぶりを分析する。

優勝が部長の義務

400メートル走の魅力を「レース展開が人それぞれ。自分は後半型なので終盤に追いついたり、抜かしたりできる所が楽しい」と話す。

すでに県予選が終わったインターハイ本番は、「初日の最初に行われる決勝レースが400メートル。自分が優勝することで相洋の良い流れにもなる」と、2連覇は女子部長としての義務とすら考えている。リレーも2種目で主要メンバーを担っており、意気込みは昨年以上だ。

ただ、これらは最終目標ではない。「6月の日本選手権も優勝を目指したいし、高校記録(52秒52)も更新したい。そのためにはまず52秒台を出すこと」。高島は「インターハイ王者」という立場におごることなく、ひたむきに自らが志向する高みに挑み続ける。

Q&A レース直前はイメトレ

Q 好きな食べ物は?

A パスタやうどんといった麺類が好きです。

Q 試合前にするリラックス法や集中力を高めるコツは?

A レース直前には、座って目をつぶり、良いときの走りを頭の中でイメージしています。先輩に「寝てるの?」と言われたことはありますが(笑)。

Q ここぞという時に力を発揮するには?

A 試合の直前にやってもあまり効果がないので、日々の生活からきちんとすることが大事だと思います。

Q 好きな教科は?

A あまりありませんが、強いて言うなら社会などの暗記ものです。苦手な教科は英語です。

Q オフの日の過ごし方は?

A 趣味と言えるものがないので探し中です。先日のオフは友達と温泉に行って体を休めました。父が本好きなので、本棚をあさって通学の電車内で読んだりしています。

たかしま・さき 2002年2月18日、神奈川県生まれ。秋葉台中卒。一つ年上の姉の影響で中学入学とともに陸上を始め、3年次に全国中学校大会出場。高校から400メートルを専門とし、18年日本選手権5位、今年3月の香港でのアジアユース選手権で金メダルを獲得。4月の静岡国際陸上ではU18 日本新記録となる53秒31をマークして優勝した。160センチ、47キロ