桜花学園(白)の球際の強さに圧倒された(青木美帆撮影)

8月5日に千葉県八千代市で開催された全国高校総体(インターハイ)バスケットボール女子準々決勝。東京3位で出場した東京成徳大高(東京)は、ディフェンディングチャンピオンの桜花学園(愛知)と対戦したが、及ばなかった。

■強豪破って準々決勝へ 「女王」に挑戦

かつて「桜花対成徳」と言えば高校女子バスケットの黄金カードであり、頂上決戦の代名詞でもあった。しかしここ数年、東京成徳大高は全国上位グループから遠ざかっている。

今大会は東京の3位枠で出場ながら、昨年度からチームの指揮を執る遠香周平コーチのもと、強豪の岐阜女(岐阜)、札幌山の手(北海道)を破ってベスト8に進出し、チームが大会前から目標としていた桜花学園への挑戦権を手にした。

桜花学園のプレッシャーディフェンスに歯が立たず

東京成徳大高が桜花学園と対戦するのは2011年のインターハイ以来3年ぶり。遠香コーチと選手たちが初めて体感した女王のバスケットは、圧倒的だった。前半はディフェンスがうまくいき、食らいつくことができたが、桜花学園は第3ピリオド早々に本領を発揮。強烈なプレッシャーディフェンスで、東京成徳大高の気力を容赦なく削っていく。

終わってみれば37-65の大敗。ハイスコアゲームでトーナメントを勝ち上がってきた東京成徳大高だったが、後半は13点を奪うのが精一杯だった。

■大敗にも手応え「つかめたものがあった」

試合後の長いミーティングを終えて取材に対応したゲームキャプテンの田中真美子(3年)=東京・日野一中出身=は大敗にひるんだ様子を見せず、逆に手応えを語った。

「桜花は何回も優勝しているすごいチームで、歴代の先輩たちが決勝で戦っていた相手。大会前から手の届かない相手だと思っていたし、実際勝てなかったけど、つかめたものはあったと思います」

特に、桜花学園の全員で一つのボールを追いかける気持ちの強さを田中は痛感したという。

「下を向いていたらつまらない」と笑顔でチームをけん引した田中真美子(写真左)。右は川井麻衣(3年)=茨城・守谷中出身(青木美帆撮影)

女王の看板を背負い続け、「負けられない」という気持ちが生み出す強さ……。以前、本紙で取材した間宮佑圭(JX-ENEOSサンフラワーズ)は、まさに東京成徳大高が桜花の最強のライバルと呼ばれた頃の主将だった。間宮は桜花学園のことを「よきライバルであり、よき仲間」と表現したが、桜花学園の持つ「強さ」は、当時の東京成徳大高にも備わっていたと記憶している。

そんなことを思い出しながら「また桜花と決勝で当たるようなチームになるといいですね」と声をかけると、田中は続けた。

「成徳は最近ちょっと弱くなってしまったけど、『また強くなったな』とまわりに示せるようになりたいです。そして、先輩たちができなかったことを達成したいです。

「先輩ができなかったこと」……つまり、桜花学園を決勝で破っての全国優勝。

今大会、東京から出場した3チームすべてがベスト8に入った。出場枠が1つ減るウインターカップ予選も熾烈なものになるに違いない。しかし、かつての先輩たちが鎬(しのぎ)を削ったライバルと戦い、最高峰の高さ、厳しさを実感した東京成徳大高の時計の針は、ここからまた新しい時間を刻み始める。(文・写真 青木美帆)