毎年恒例、37回目を迎えた和歌山・市立和歌山高校伝統の「市高(いちこう)デパート」が11月16、17日に開かれた。1年生から3年生までの全生徒750人が参加。天候にも恵まれて盛況だった。 (文・写真 坂祐三)

午前10時、校門に掲げられた「市高デパート」の横断幕をくぐると、いきなり目に飛び込んできたのは地元・和歌山の那智勝浦から運ばれてきたマグロの「解体ショー」だった。すでに校内は「デパ地下か?」と思わせるほどの人でごった返していた。

「いらっしゃいませ、いらっしゃいませ」。背中に同校のキャラクター「いっち」をプリントしたオレンジ色の法被を着たデザイン科3年生の生徒たちの、威勢のいい呼び込みの声が響き渡る。業者がマグロを解体すると、後方で生徒たちが細かく切ってパック詰めする係、売り上げを記帳する係、売りさばく係に分かれて機敏に動いていた。

■日用雑貨から名産品まで 

 

まだ校名が市立和歌山商業高校だった1977年からスタートした「市高デパート」。授業の一環として地元業者の協力を得て、仕入れから販売、宣伝、最終的な決算を行い、全生徒、教員が参加する一大行事になっている。訪れた年配の女性に聞くと「11月になると、今年も市高に買い物に行かなきゃと思う」と、市民にもしっかり認知されており、2日間で1万3580人が来場した。

今年は体育館内で33、屋外で21の店舗を展開した。商品は瀬戸物、日用雑貨、金物、名産品など多岐にわたる。

ひときわ大きな声で呼び込みをしていたのは、体育館内で菓子を販売していた総合ビジネス科2年C組の小山夢斗君だった。「販売(呼び込み)をやりたかったんですよ。将来、役立つかもしれないですし」。店長を務めた出村菜都希さん(2年)は「2日間で完売させます」と、ともに生き生きとした表情だった。