農学部は、農家志望の人が学ぶところ……そんな勘違いをしがちだ。東京大学農学部の堤伸浩学部長と岩田忠久教授に、農学部にまつわる「誤解」を解いてもらった。(安永美穂)

Q.農学部出身者は農家になるの?

A.食品業界や製薬業界、総合商社など多岐にわたります。

 

大学院に進学する人も多く、化学やバイオの知識を生かせる食品業界や製薬業界のほか、食品やエネルギー資源を扱う総合商社などに就職する人もいます。また、公務員や国際機関の職員として、農林水産業や畜産業のサポートをしたり、河川整備などの街づくりや環境保全の仕事に携わったりするという進路もあります。

近年では「バイオマス(生物由来の再生可能な資源)」に着目する企業が増え、さまざまな分野で農学の知識を持つ人が必要とされています。地球環境に負荷をかけない開発のあり方が問われる現代において、農学を学ぶことで「持続可能なアクションとして何ができるか」を意識する視点を身につけておくことは、将来どの仕事に就いても役立つといえるでしょう。

(写真右)堤伸浩教授(東京大学大学院農学生命科学研究科長・農学部長)

つつみ・のぶひろ 生産・環境生物学専攻 植物分子遺伝学研究室教授。博士(農学)。専門は植物分子遺伝育種学。

(写真左)岩田忠久教授(東京大学大学院農学生命科学研究科教授・総長補佐・国際交流室長)

いわた・ただひさ 生物材料科学専攻 高分子材料学研究室教授。博士(農学)。専門は生分解性バイオプラスチック。