日本体育大学が、来春北海道網走市に開校する附属高等支援学校。知的障がいのある男子生徒を対象とする同校は、スポーツ・労作・情操の3つを軸と定め、教育を行っていく。
国内初のスポーツ教育を主軸とした特別支援学校として注目が集まる同校。スポーツ基本法施行などの社会背景から、障がい者スポーツ教育の必要性を感じていた日本体育大学に、2013(平成25)年、網走市が誘致を要請したことから、設置が実現した。同校では「継続して働くこと」「地域で自立して生活すること」を目標とし、スポーツ・労作・情操の教育に注力。体育や部活動を通して心身の健康を育み、自然あふれる網走市ならではの特性を生かした農業・園芸で働くことの楽しさや尊さを培う。そして、絵画や書道、ダンスなどで豊かな感性を養っていく。この3つの教育の柱が好循環を生むことで、自立を目指していくのだという。
充実した施設のなかで
伸び伸びと学べる環境を備える
同校では、約5000平方メートルのグラウンドのほか、トレーニング機器をそろえた2棟の体育館など設備面も充実。校舎裏にはビニールハウス栽培も体験できる園地や、美術室、音楽室などが用意されている。また、校舎には寄宿舎を併設。生徒たちは共同生活を通じてコミュニケーション能力を養い、社会参加のための基礎を身につけていく。
さらに同校は、網走市の全面的なバックアップにより、充実した周辺施設も利用可能だ。オリンピック選手などのトップアスリートが練習で利用するスポーツ・トレーニングフィールドのほか、夜間照明を完備した市営スケート場やスキー場が利用できる。そのほか、市が所管する18万平方メートルの広大な自然公園・大曲湖畔園地も農作業の体験学習で活用する。
スポーツに興味・関心がある
生徒も歓迎
校長は、日本体育大学を卒業後、北海道内の6つの聾学校に勤務し、うち4校で校長を務めてきた島崎洋二氏。島崎校長は「アスリートを育成することはもちろんですが、何よりも大切にしたいのはスポーツや農業などの職業教育や芸術活動を通した人間形成です。そのため本校ではスポーツが得意な人だけでなく、スポーツに興味・関心がある生徒も歓迎します」と話す。
島崎校長によると、スポーツ以外も多彩な活動を予定している。農業実習地ではジャガイモやトウモロコシ、小麦などを栽培。育てた作物で作ったパンやピザを仲間と味わったり、多くの人に提供して喜んでもらう。静かに絵画や書道に向き合い、豊かな感受性を培う、などの時間も貴重な体験となるだろう。
最後に島崎校長は、「さまざまな教育活動を通して、一人ひとりが夢中になるものを見つけ、やがてそれが得意なこと、自慢できることになってくれることを期待しています。雄大な自然・食べ物、人々が、生徒の“夢の実現”を優しく支えてくれる網走で、新たな学校づくりに誠実に取り組んでまいります」と強い決意を話してくれた。