文学部に美学専攻のある大学は多い。しかし美学は高校生にはあまりなじみのない言葉。「美」を学ぶとは?美術史や芸術学との違いは?高校生に向けて大阪大学文学部の岡田裕成教授に、文学部についての疑問に答えてもらった。(木和田志乃)

Q.美学とは何を学ぶの?美術史学や芸術学との違いは?

A.美学は哲学の一領域として生まれた

美学はもともと、哲学から発展した領域です。「美とは何か」といった問いから始まりました。これに対し、美術史学は具体的な美術作品の研究から出発していて、むしろ歴史学と近いところにあります。美学でも美術史学でも美術作品を論じますが、視点や目的が異なります。

芸術学は、美学、音楽学、演劇学、美術史学など、芸術に関する学問をひとくくりにした総称です。これらの学問はそれぞれ、他の文学部系の学部や芸術大学などでも学べる場所はあります。しかし大阪大学文学部は、そのすべてを一つの場所で学ぶことができるという点で際立っています。

 岡田裕成教授(大阪大学大学院文学研究科教授)

 
おかだ・ひろしげ 大阪大学文学部卒。大阪大学文学研究科博士後期課程退学。文学修士。専門はスペイン・ラテンアメリカ美術。著書に『ラテンアメリカ 越境する美術』(筑摩書房)など。