卒業をテーマにした小説 茨城・土浦第二高校図書委員会のおススメ
檸檬のころ
豊島ミホ(幻冬舎文庫、576円)
◆とある田舎町の青春
とある田舎の県立高校を舞台にした物語だ。保健室通いの友人を持つ女子高校生、諦めのつかない予備校生、問題児を抱えた先生などが、それぞれ短編小説の主人公として登場するが、全員「同じ高校と関係がある」という点で共通している。こういった斬新な構成が、お勧めする理由だ。特に最終章で、卒業と進学のために離れ離れになってしまう恋人たちの話は、涙なしに読むことはできない。感動の一冊だ。(山村隼斗君・2年)
砂漠
伊坂幸太郎(実業之日本社文庫、780円)
◆価値観や生き方を考えた
仙台の大学に通う一人の男子学生・北村を中心に、彼の大学生活を描いている。伊坂幸太郎といえばミステリー作家として有名だが、この作品はミステリーというよりは、青春物語という方が合っているかもしれない。私は読んでみて、自分の価値観や生き方について考えさせられた。「私も砂漠に雪を降らせることができるかもしれない」。そんな気持ちになった。(原田空さん・2年)
対岸の彼女
角田光代(文春文庫、637円)
◆悩める2人の主人公
2人の主人公、小夜子と葵。大人の世界と子どもの世界。それぞれの世界に生きる彼女たちは、懸命に今を迷いながら生きている。過去の自分からの脱却。定まらない自分の気持ち。立場は違うけれど、どこか共通する悩み。彼女たちからの、私たちに伝わる生きるためのメッセージ。皆さんもぜひ読んで考えてみてください。(矢花瑞帆さん・1年)
四月になれば彼女は
川上健一(集英社文庫、802円)
◆大人になることの切なさ
24時間。たった1日のうちに起こった出来事が鮮明に描かれている。鮮烈で疾走感があり、場面や主人公が向き合う相手がころころと変わっていくので目が離せない。ページをめくる手が止まらなかった。さらに、主人公の友人や初恋の人、釣り仲間、番長といった、さまざまな人たちとの別れが印象的で、卒業し、大人になることの切なさを近くに感じられた。(鳥井美里さん・2年)
空より高く
重松清(中公文庫、691円)
◆「レッツ・ビギン!」
廃校が決まった東玉川高校最後の卒業生たちが、先生の言う「レッツ・ビギン!」という言葉に動かされ、新しいことに挑戦する青春小説だ。「終わり」を感じながらも、新しいことに挑戦して楽しむ生徒たちの姿には、高校生の私たちが必要な、学ぶべきものがあるのではないか。そんなことに気付かされた。ぜひ高校生に「今」読んでほしい。(水谷康平君・2年)
※価格はすべて税込み