横浜市立南高校(神奈川)では、希望制で2年生の生徒が、東南アジアの社会問題を解決するためのビジネスを考えるプロジェクトに取り組んでいる。石川柚葉さんら4人のグループは、生活に苦しむカンボジアの女性たちのためのビジネスを思案した。(文・写真 中田宗孝)

貧困に苦しむカンボジア女性を救うビジネスを考えた石川さんたち

カンボジア伝統のシルクを現地で購入 実験で肌への効果実証

カンボジアの貧困層を描いた映像を見たことがきっかけとなった。「売れるものを探すために女性たちがゴミあさりをしていたんです。その姿に衝撃を受け、貧困から抜け出すための新ビジネスを考え始めました」(石川さん)

インターネットで調べた、カンボジアの伝統工芸品「黄金のシルク」の希少性の高さ、品質の良さに着目。事実、現地で購入した黄金のシルクを紫外線強度計で計測すると、綿の布よりも紫外線をカットし、肌を保護するのに優れていることが分かった。「黄金のシルクの優しい肌触りはベビー服にぴったりだと思いました。黄ばみが目立ちにくいことも強み」(堀越奏子さん)

 
 

  紫外線強度計で測定。カンボジアのシルク(左)のほうが紫外線をブロックしている(学校提供)

「日本での商品化に希望がもてた」

週1回の総合学習の時間のほかに、朝時間も活用して事業計画を練った。LINEで会議することもあった。カンボジアの女性に半年間の研修を行い、ベビー服作りの技術を習得してもらい、完成品を日本の百貨店などで販売する計画を立てた。

日本市場の調査も行い、大手百貨店の販売員などからの助言も取り入れた。「販売想定価格が9800円。やや割高で不安でしたが、少子化で赤ちゃん一人当たりに費やす出産祝いの金額が大きいことを知りました。商品化に希望がもてた」(檜山彩名さん)。石川さんは「私たちのビジネスがカンボジアの女性に喜んでもらえれば」と、思いを募らせた。

今年1月、高校生が考案した事業計画やプレゼンテーション内容を競う「第6回高校生ビジネスプラン・グランプリ」(日本政策金融公庫主催)で優秀賞を獲得した。

友人に依頼し日本の布で試作したベビー服とカンボジアの黄金のシルク(右)