世界を舞台に仕事をしたい。工学部で学んでからグローバルな職業につけるのか?そんな高校生に向けて、東京大学工学部長の大久保達也教授に、工学部についての疑問に答えてもらった。(安永美穂)

Q.工学を学んで、海外で活躍することはできますか?

A.学部生のうちから国際経験を積むチャンスも。

 

国際的に活躍することはもちろん可能です。現代社会は、環境問題やエネルギー問題をはじめ、世界規模で解決を目指さなければならない問題を数多く抱えています。それらを解決する方法を考える上では、多くの場合において、これまでにない仕組みを生み出したり、新しい技術を活用したりすることが不可欠になるため、工学の知識や視点は非常に重要です。工学は、科学の基礎的な研究をすると同時に、それらの研究成果をどのようにして人々の役に立てることができるかを考えていく学問なので、研究をしていくと自ずと社会につながっていくことになります。早い遅いの違いはありますが、世界各地で共通の課題が発生し、解決が求められています。工学を学ぶということ自体が「ユニバーサル(全世界的)な活動」であると言えるでしょう。

大学によっては、学部生のうちから海外の論文を読んだり、海外の研究者が集う学会に参加したりする機会もあります。若いうちから国際経験を積める機会が多いのは工学部の大きな特徴です。さらに大学院に進んで国際的な研究プロジェクトに参加したり、博士号を取得して海外の研究機関で活躍したりしている人も大勢います。工学を研究することで身につく、「今はまだ世の中にない『もの』『こと』を生み出す力」は、世界のどこに行っても通用するものなのです。工学を学んだ皆さんが世界をリードする人材として大きく羽ばたくことを期待しています。

大久保先生と大久保先生そっくりのフィギュア

大久保達也教授
(東京大学大学院工学系研究科長・工学部長)

おおくぼ・たつや 
早稲田高校(東京)、東京大学工学部卒。東京大学大学院工学系研究科化学工学専攻博士課程修了。工学博士。九州大学工学部助手、東京大学工学部助手・講師・助教授を経て現職。日本のナノテクノロジー研究の第一人者。