工学部出身の人はどんな就職をしているんだろう。そんな高校生に向けて、東京大学工学部長の大久保達也教授に、工学部についての疑問に答えてもらった。(安永美穂)
Q.工学部を卒業した人の進路は?
A.進路は多種多様。研究者を目指す人は博士号の取得を。
工学は世の中のさまざまな「もの」や「こと」について広く研究する学問なので、将来どのような職業に就いたとしても、大学で学んだことを仕事に活かすことが可能です。そのため、工学部を卒業した人の進路は多種多様で、エンジニアや研究者になる人もいれば、工学の知識を活かして会社経営や科学技術政策の立案といった仕事に携わる人もいます。
学部の4年間を終えた後に大学院に進学する人が多いことも工学部の特徴です。一般的に、修士課程では2年間、博士課程では3年間にわたって研究に取り組むこととなります。専門性の高い職種に関しては、大学院修了生を採用している企業も多く、大学院でより深く学んだ経験・実績を活かして社会で活躍することが期待されています。
なお、研究者として世界に通用するキャリアを形成するには、博士課程まで進んで博士号を取得する必要があります。博士号はいわば「世界へのパスポート」であり、大学や研究機関はもちろん、グローバルに見ると博士でなければ研究者として採用しないという企業も少なくありません。研究者を目指したい人、より専門性の高い仕事に就きたい人は、学部の4年間だけではなく、その後の大学院進学も視野に入れながら進路を考えていくとよいでしょう。
-
大久保達也教授
おおくぼ・たつや
(東京大学大学院工学系研究科長・工学部長) - 早稲田高校(東京)、東京大学工学部卒。東京大学大学院工学系研究科化学工学専攻博士課程修了。工学博士。九州大学工学部助手、東京大学工学部助手・講師・助教授を経て現職。日本のナノテクノロジー研究の第一人者。