法学部に興味があるけれど、実際にどんなことを学ぶのかイメージが湧かない…。そんな高校生に向けて、中央大学法学部の遠藤研一郎教授に答えてもらった。(安永美穂)

Q.法学部では、どんな法律について学ぶのですか?

A.憲法・民法・刑法の3つは1・2年次からしっかり学ぶ。

現在、日本にはおよそ2000の法律がありますが、その中で基礎となるのが、憲法・民法・刑法・商法・民事訴訟法・刑事訴訟法の六法、あるいはこれに行政法を加えた七法です(憲法は法律ではありません)。

特に、国民の権利を国家が保障することを定めた「憲法」、私人の間の利害が対立したときに解決するためのルールである「民法」、社会の安全を守るために犯罪や刑罰について定めた「刑法」の3つは特に重要なので、大学1・2年次からしっかり学んでいくことになります。

例えば、SNSに軽い気持ちで投稿したことが他人を傷つけてしまった場合、刑法の名誉毀損(きそん)罪に問われる可能性がありますし、民法の不法行為として損害賠償を請求されることもあります。また、憲法を踏まえて、表現の自由と相手の権利を守ることのバランスはどうあるべきかも考える必要があるでしょう。

現実の社会では、相手の権利と自分の権利が対立する場面もたくさんありますから、そのバランスをとるために法学の知識や考え方が必要になるのです。

 

遠藤研一郎教授(中央大学法学部教授)

えんどう・けんいちろう 中央大学附属高校(東京)卒業。中央大学法学部卒業。中央大学大学院法学研究科博士前期課程修了。法学修士。共著「高校生からの法学入門」(中央大学出版部)では、恋愛など身近な話題を法学の視点から解説。