インターハイの雪辱を胸に一致団結

内から外から幅広く攻撃した主将の松崎裕樹

全国高校バスケットボール選手権(ウインターカップ)男子決勝が12月29日、武蔵野の森総合スポーツプラザ(東京)で行われた。福岡第一(福岡)が中部大第一(愛知)を85-42で破り、2年ぶり3回目の優勝を達成。トーナメント5試合で全て20点以上の大差をつける、見事な圧勝劇だった。

決勝の序盤は、得意の速攻が出ず、少し重い内容。それでもしっかりと得点を決め、前半を終了して18点のリードを積み上げる。後半は本領発揮。自慢の堅守から流れをつくり、「0‐0という気持ちで入った」と話す司令塔の河村勇輝(2年)が速攻を次々と演出。クベマジョセフ・スティーブ(2年)も3回戦で足を捻挫したとは思えない走りを見せ、ダンクシュートをたたきこんだ。

ゴールを狙うクベマジョセフ・スティーブ

31点差で迎えた最終クオーターも、選手たちは全く気を抜かなかった。主将の松崎裕樹(3年)を中心に「最後は自分たちの最高のプレーで終わろう」と確認し、河村も「ディフェンス!」「ハリバック!(早く戻れ)」と叫んで仲間を引き締めた。控えメンバーが次々と出場した後、最後は松崎らの懇願で再びスタメン5人がコートイン。優勝の瞬間は古橋正義(3年)がボールを高く放り投げ、喜びを爆発させた。

ゴールが決まるたび、歓喜に沸くメンバーたち

「だから負けたんだ」 厳しい言葉で仲間を鼓舞

優勝への伏線はいくつかあった。連覇を狙った前年のウインターカップ準決勝で3点差の惜敗。河村は10本打った3ポイントが1本も入らず、「自分がチームを負かした」という思いでシュート力強化に励んだ。

松崎と河村をU18日本代表で欠いた夏のインターハイはまさかの初戦敗退。松崎に代わって主将を務めた古橋は2人頼りのチームのもろさを痛感し、2人の合流で安堵する仲間たちに「だから負けたんだ」などと厳しい言葉をかけ続けた。松崎は合流後のチームの雰囲気について「本気に勝ちに行かないと全国は取れないということがわかったのか、一致団結していた」と振り返る。

来年度のチームには河村、スティーブ、小川麻斗(2年)と主力が3人残る。河村は「日本では止められないチーム」の実現を思い描いている。

福岡第一高校バスケットボール部のメンバー
【TEAM DATA】
1994年創部。部員77人(3年生27人、2年生31人、1年生19人)。秋の国体でも主力が全国制覇を達成している。並里成(琉球ゴールデンキングス)、鵤誠司(栃木ブレックス)ら多くの卒業生がBリーグで活躍している。