左から澁谷佳輝君、高島元希君(1年)、佐々木隼暉君(8月、SSH生徒研究発表会)

福島高校(福島)スーパーサイエンス部の9人は、風力発電の課題である発電効率の向上と安定的な電力供給を解決するため、プラズマ(電離した物質の電子と陽イオンが混在している状態)を利用して空気の流れを制御する方法を研究している。

実験装置を全て自作

プラズマの発生が、風車の翼型周辺を流れる空気にどのような影響を与えるかを観測。プラズマ発生装置の取り付け位置や、空気が流れる方向と翼の角度などの条件を変えて実験した。その様子を動画で撮影した中から500枚の画像を抽出。風力発電を阻害する原因となる「翼から空気の流れがはがれる状態」の面積を測定し、空気の動きを解析した。

その結果、プラズマは翼から空気の流れがはがれる状態を減らす効果があると明らかになった。プラズマ発生装置を翼の前縁に取り付けることが効果的であると結論付けた。

実験装置は全て自作した。澁谷佳輝君(2年)は「スモーク(煙)を使って空気の流れを可視化する装置を作るのが難しかった」という。「風が速すぎても遅すぎてもスモークの動きがきれいに見えないので風速の調整には苦労した」

佐々木隼暉君(2年)は風力発電への応用を目指し、「今後は風速などのパラメーターを加え、小型の装置を設計・開発して発電電力について計測したい」と意欲に燃えている。(文・写真 木和田志乃)