市川高校の金村拓真君は2年生だった昨年度、「斜面崩壊」をテーマにSSH(スーパーサイエンスハイスクール)の研究に取り組んだ。「砂で遊んでいた時、たまたま土砂崩れのような現象が起きて興味を持った」。物理が好きなこともあり、自然に起こる斜面崩壊のメカニズムを調べることにした。
地震エネルギーは振り子で
実験しやすいように土砂の代わりに米粒を選んだ。自作の容器に米を
少しずつ注いで山を作ると、斜面が一定の角度を超えると固まりとなって滑り落ちることが分かった。
さらに、地震をイメージし、容器外側の上段と下段に振り子で重りをぶつけ、斜面崩壊の様子を比較し
た。振り子で与える力を一定にするのが難しく、3回ずつ行った実験ではエネルギー量がばらばらになってしまったが、重りをぶつけた位置が同じであれば、崩れ落ちた米の量も崩れる時間も、ほぼ同じだった。金村君は「斜面崩壊の規模は、エネルギー量よりも、斜面のどの部分にエネルギーがかかるかによって左右されるのではないか」と推察する。
容器の自作に約2カ月かかった上に、実験方法の試行錯誤も続き、十分に実験できなかったのが反省点だ。「実験回数を増やし、推論を確かめたい」と意気込む。(文・写真 山口佳子)