大人も子どもも大好きな人が多い「カレー」に、青春をかける高校生たちがいる。今回は部活動、もしくは同好会でカレーを追求している3校を取材。生徒たちに、こだわりのカレーを紹介してもらった。(中田宗孝)

松本第一高校の10種類のスパイスで作る本格派チキンカレー

松本第一高校が使用するスパイス類
文化祭で振る舞ったツインカレー

松本第一高校(長野)カレー研究同志会は、1996年の発足から長く活動を続けている。マイルドチキンカレーは、歴代のメンバーから受け継がれる「秘伝のレシピ」を守って作られる逸品だ。部長の鳥羽虹希君(3年)は、「ルウやカレー粉を一切使用せず、約10種のスパイスから作るのが特徴。市販のカレーよりもマイルドでパンチの効いた奥深い味わいです」と、自信をのぞかせる。

松本第一高校カレー研究同志会部長の鳥羽君

9月の文化祭では、夏野菜カレーとマイルドチキンカレーの2種を一皿で味わえる「ツインカレー」を販売した。「ナス、玉ねぎ、ズッキーニなど、カレーに使用する野菜は地元産にこだわりました。また、野菜のうま味を損なわないよう、ひと野菜ごとに炒める手間をかけています」という、本格派カレーをふるまった。

提供する際には野菜サラダとラッシーをセットにして提供。「おいしいカレーには、箸休めの意味合いの野菜サラダと、喉を潤す甘いラッシーは欠かせません。黄金の三角関係です」

松本第一高校のスパイスの配合は秘伝

同会のカレーを求めて毎年訪れる常連客や、2日連続で食べる客で盛況を博し、約140食を販売した。「(ファンの常連客たちのためにも)段取り、提供方法の効率化はもとより、スパイスのみに由来するカレーに情熱と努力を積み重ねていきたいです」

あめ色玉ねぎがポイント 計600食が飛ぶように売れた鹿沼高校の野菜たっぷりカレー

鹿沼高校の調理風景。大鍋でぐつぐつ煮込む

鹿沼高校(栃木)カレー研究部は毎週月曜日に活動している。自慢のカレーを広くふるまう9月の文化祭は同部にとって一大イベントだ。

早朝5時から部員14人で分担してカレーの仕込みを始めた。提供するのは、野菜と豚肉たっぷりの「鹿高カレー」300食と、スパイスの効いた「キーマカレー」300食。鹿高カレーは、部に代々伝わるオリジナルの一品だ。「鹿高カレーは6個の大鍋で大量に作ります。鍋ごとに味が変わらないよう、炒めた具材や調味料を入れるタイミングには細心の注意を払っています」(部長の篠崎莉奈さん・3年)

かぼちゃを2センチに切って入れるが、加熱時間が短いと固く長いと煮崩れてしまうのが難しいという。玉ねぎをあめ色になるまで炒めるのが、おいしさを引き出すポイントだ。「この作業をしっかりとこなすことで甘みとうまみのあるカレーに仕上がります」
文化祭での接客は部員だけでは足らず、協力を申し出た約40人の生徒のサポートもあり、大勢のお客が自慢のカレーを堪能した。「文化祭の後は、次年度にさらに改善できるように、時間をかけて反省会を開いています」

大人も子ども大好き 地域住民も感激のカレーホットサンド

水分を入れずに作るカレーをはさんだ、昌平高校のホットサンド

昌平高校(埼玉)菓子研究部は、カレーを使用した変わり種グルメを文化祭で毎年販売している。2012年に生徒と顧問の先生で考案した「昌平カレーホットサンド」は、地元のグルメ大会でも優勝を獲得した折り紙つきの一品だ。

「数種類のカレー粉をブレンドして水を使わずに調理したカレーをパンに挟んで焼きあげます。さらに、チーズとハムを挟み、柔らかくて深みのある味に仕上げました」(部長の高原純令さん・3年)。大人から子どもまで幅広い年齢の人が誰でもおいしく食べられるように、適度な辛さでかつ味に深みが出せるようにすることに気を付けている。具材は細かくみじん切りにしている。舌触りが滑らかになるようにする一工夫だ。

昌平高校の調理風景。両面焼きフライパンを駆使して焼き上げる

過去の経験から手軽に持ち運べる片手サイズにしているのもこだわりだ。文化祭当日は、部員24人が一丸となり、両面焼きフライパンで、きれいな焼き目の付いた昌平カレーホットサンドを次々作っていく。1日200食の数量限定ながら、1時間で100食を売り上げる人気ぶりだった。

地域のマラソン大会やイベントにも出店し、販売する。「地域の方々にも喜ばれる味となっています」と高原さんが言うように、地域に愛される逸品だ。

昌平高校菓子研究部部長の高原さん(左)と部員たち