長野市戸隠(とがくし)地区の戸隠そばは、岩手のわんこそば、島根の出雲そばと合わせて「日本三大そば」のうちの一つだ。この戸隠そば作りに励むのが、長野吉田高校戸隠分校そば部。週1の活動日には、地元のそば店から職人を招き、伝統的なそば作りを教わっている。(中田宗孝)
礼儀作法も大事な要素
手打ちそば作りは、「水回り」「こね・練り」「のし」「切り」の工程に気を払いながら取り組む。部員の湯本竜之助君(2年)は、「そば粉に水を加えて混ぜ合わせる『水回り』の工程が特に重要。僕は手でそば粉を練り、こねる技術がまだまだ未熟なので特訓中です」と話す。陸上部とバドミントン部を掛け持つ湯本君だが、「そばが大好物なので、作るほうにも興味があったんです」と、三つ目となるそば部に入部した。
腕を磨くため、自主練をする熱心な部員もいる。また、講師の職人へのあいさつといった礼儀作法、道具の整理整頓などもおいしいそば作りに欠かせないという。
麺棒操りおいしいそば目指す
一般的なそば打ちは、長さや太さ、形の違う複数の木製麺棒を要所で使い分ける。戸隠そばは1本の麺棒のみで、つなぎを加えたそば粉を丸く延ばす「1本棒・丸延ばし」という独特の技法で行われる。「生地を延ばす時の微妙な力加減は体で覚えていきます」(湯本君)
作ったそばは、老人ホームや地元の祭りでふるまうこともある。毎年8月開催の「全国高校生そば打ち選手権大会」での上位入賞も部員たちの目標だ。出場経験のない湯本君は「腕をあげて、今年こそ選抜メンバー入りしたい」と意気込む。
- 【部活DATA】
- 2013年創部。部員16人(3年3人、2年6人、1年7人)。活動日は調理室で毎週木曜に行う。戸隠そば打ち講座を総合学習の時間に授業の一環として行っていたが、より真剣に取り組むために部が発足した。戸隠そばは、麺1束、1束を馬のひづめの形のようにざるに並べる「ぼっち盛り」と呼ばれる盛り方も特徴。