県立川越高校は、男子校としては全国的に珍しい料理部が活発に活動している。肉料理や丼物など、「自分たちが食べたい、作ってみたい」と思う料理に取り組むのが部の基本方針だ。(文・写真 中田宗孝)
スイーツ作れる喜び
調理するメニューは、全体ミーティングでの投票で決める。取材した日は、仮入部に訪れた1年生に振る舞う、焼き菓子マドレーヌ作りに取り掛かった。オーブンでふんわり焼けた絶品のマドレーヌを味わう1年生たち。彼らに交じり、甘い匂いに誘われた運動部員がちゃっかり席に着き、つまみ食いする様子も部の日常の一こまになっているという。
クリスマスの時期にはホールケーキ、バレンタインにはチョコレートを作ることも。「家では作る機会のないスイーツを部活で作れるのはうれしい。何より、お菓子は大勢で作った方が断然楽しいんです」(部長の関内航平君・3年)
マーボー豆腐や手打ちうどんなど、作れるレシピが増えていくのも部員の喜びの一つ。副部長・文化祭代表の佐藤凌雅君(3年)は、調理技術の上達を実感している。「千切りや桂むきが格段に上手になりました。また、1つの料理を作る際の工程を調理前にしっかり考えることで、効率良く手際良く、完成させられるようになったんです」
文化祭で伝統のパスタ
料理部の晴れの舞台は、9月の文化祭で開く「Men's キッチン」。昨年は、和風トマトパスタとコンソメスープを販売。部の先輩から代々受け継がれるパスタの基本レシピをもとに、毎年アレンジを加えるのがこだわりだ。
昨年は5月ごろからパスタの試作を始めた。パスタのゆで時間をそれまでの9分から7分半に短縮し、客の目の前に運ばれた時に最も麺の歯応えが良くなるように仕上げた。トッピングにスイートバジルを使用し、見栄えにも工夫を凝らした。2日間で、約700食のパスタを販売し、過去最高の売り上げを達成。「お客さんを満足させたい一心でした。文化祭を終えると、部員たちの料理の腕前が大きく成長するんです」(佐藤君)
- 部活データ
- 2011年創部。部員53人(3年生26人、2年生12人、1年生15人)。活動は家庭科室で週2日。秋口には茶わん蒸し、2月には恵方巻きを作るなど、季節感も大切にしている。