全国の高校生が創作和菓子で競うコンテスト「第13回全国和菓子甲子園」の決勝戦が8月、辻製菓専門学校(大阪)で開催された。出場チームは「SDGs」をテーマにオリジナル和菓子を製作しプレゼン。「味の良さ」「見た目」「作業態度」などが審査基準となる。応募42校のうち、書類審査を経て決勝戦に出場した12校の作品を紹介する。(写真・和菓子甲子園実行委員会提供)
特産品の枝豆と柿を使って
優勝「雛菊」(岐阜・城南高校)
SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」にちなみ、岐阜の特産品の枝豆と柿を使用した作品。特産品を使うことで、食品ロス削減を目指す。岐阜の自然豊かな環境が未来まで継続していくことを願い、緑あふれる自然が表現されている。
- 【講評】作業にムダがなくきれいに作っていた。食感もよく楽しめるお菓子だった。
海のさわやかさを炭酸で表現
準優勝「目指したい海」(奈良・奈良女子高校)
SDGs目標14の「海の豊かさを守ろう」を表現した作品。「生き物たちが快適に暮らせるようなきれいな海に」という思いが込められている。海の爽やかさを炭酸飲料の気泡で表している。
- 【講評】お互いの動きをよく見ながら作業ができていた。プレゼンも面白く工夫されていた。あまり甘くないことが、今の時代に合っているお菓子。
ゴミ問題を和菓子で
準優勝「3んなで6ししないで5ミ達を~365日~」(岡山・おかやま山陽高校)
プラスチックやゴミ問題を表現した作品。プラスチック製の器から型を取り、プラスチックの容器を再現。青色に着色した寒天を使用し、海を描く。ちりばめられたカラフルな寒天が海のゴミを連想させる。
- 【講評】チーム内でしっかり声掛けできていた。とても難しい作業をしっかり作り上げていて、楽しいお菓子。
平等への願いを込め
全国菓子工業組合連合会理事長賞「十人十色」(大阪・大阪緑涼高校)
SDGs目標10「人や国の不平等をなくそう」に関連し、四字熟語「十人十色」を表現した作品。「着物」「コスモス」をモチーフにしている。8色のコスモスは「誰一人同じ人はいないからこそ、平等であるべき」という思いを表す。
- 【講評】細かい作業もムダなくこなしていた。もう少し時間をおくとなじんでよい食感になると思う。
梅とうぐいすようかんのコラボ
全国菓子研究団体連合会会長賞「ほーほけきょ!」(石川県立翠星高校)
SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」を実践した作品。翠星高校の「梅シロップ」加工後に生じるしぼりかすの梅の果肉から製造した「梅ジャム」、規格外の「グリーンピース」からなる「うぐいす羊羹」。梅とうぐいすの組み合わせは「人とのつながりを生むお菓子」という思いも表現している。
- 【講評】作業中声掛けがよくできていた。地域との連携もできており、強く印象に残るプレゼンだった。
ウミガメを守りたい
「竜宮城~亀に幸あれ!~」(宮城・仙台白百合学園高校)
海のプラスチックごみ問題から着想を得た作品。「プラスチックごみに被害を受けるウミガメの命を守りたい」という思いが込められている。
- 【講評】細かい作業を淡々とこなしていた。根気が必要な作業をしており感心した。プレゼンもよく考えられていておもしろかった。
梨をふんだんに使って
「清夏」(福島県立いわき湯本高校)
いわき市特産の「サンシャインいわき梨」。廃棄されてしまうものを活用した作品。ようかんの層、梨と寒天の層の2層の色合いが爽やかなようかんとなっている。
- 【講評】固める時間などで手が止まる時間が長くあった。梨のおいしさとあずまようかんの塩味が調和してよかった。
フェアトレードをテーマに
「七光り」(東京・新渡戸文化高校)
フェアトレードをテーマにした作品。フェアトレードのカカオを使用したココアあんがねりきりに包まれている。
- 【講評】はじめ1人だったが、簡潔に作業をこなせていた。時間内にできてよかった。ココアあんのパンチが効いていてよかった。
4色のあんが優しい色味
「「共存」~宝石の輝き~」(群馬・桐生第一高校)
SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」を表現した作品。そぼろ状の4色のあんが優しい色合い。
- 【講評】作品のデザインが非常にきれいでよかった。プレゼンでは考えがしっかりしており、テーマがよく伝わった。
野菜使った斬新和菓子
「レモン風味の狩留家なす大福」(広島・広島県立高陽東高校)
広島市の狩留家地域で作られてきた「狩留家なす」を大福に使った作品。「アクが少なく食べやすいため、スイーツにも使えるのでは」という発想から生まれた。狩留家なすに広島県産「レモン」を加え、コンポート(砂糖煮)にしている。
- 【講評】狩留家なすという地元食材のピックアップが良い。
ジェンダー平等をテーマに
「Edelstein」(長崎・純真女子高校)
SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」に着目した作品。LGBTを象徴するレインボーフラッグの色を使っている。
- 【講評】淡々と進めていきながら、ムダなく動いている。1皿1作品のルールには反してはいるが、2つのお菓子を合わせてもよかったかなと思う。
地産地消を和菓子で
「大分シTEA~安心院・院内町に光を~」(大分県立安心院高校)
「地産地消」を実践した作品。大分県の安心院・院内地域の特産物「ゆず」と大分県産「茶葉」を使い、地域活性を目指す。
- 【講評】作業が早く、きれいにできている。