5人は佐野市長に提言書を直接手渡した(学校提供)

 

栃木・佐野高校のSGH活動として、「まちづくり・コミュニティ班」の昨年度の1年生5人が地元の佐野市をより魅力あるまちにする研究に励んだ。

「佐野は『景観形成』に力を入れていると知り、これからの社会で重要と感じて研究テーマに決めました」と野原悠以さんは振り返る。景観形成とは美しい国土や生活環境を維持・創造すること。5人は部活動もある多忙な中、文献やインターネットで佐野市や景観形成について調べた。「景観を整えないと人は来てくれない。経済効果にも影響がある」(齋川晏慈君)、「景観形成を成功させている町は、どんな工夫をしているのか」(岩本舞佳さん)など、学びを深めていった。

昨年11月には、集めた情報をもとに宇都宮大学でし、「面白いけれど、具体性が足りないので実現は難しいね」と、教授らの反応はいまひとつ。そこで「小さいことでも、できそうなことをたくさん考えよう」(野原さん)と方針を決めて、アイデアを出し合った。その1つが、佐野駅前のイルミネーションの改善だ。「今までは『さのまる』(佐野市のキャラクター)が置かれているだけで、装飾を生かし切れていない印象でした。イルミネーションならコストを抑えられるし、デザインを募集してコンテストを開催すれば、市民の関心も引けると考えました」(田中空乃さん)

市長にアイデア披露

3月に佐野市で行われた「まちづくり景観講演会」で、市長にアイデアを提案。市民や観光客に楽しんでもらう提案は好評を得た。「佐野は歴史的にも見どころが多いので、たくさんの人に知ってほしい」と金原脩人君は話す。5人は研究を通し、佐野にますます愛着を抱くようになったという。(文・写真 小野哲史)