優勝した「午前午後」(左から浦田君、前田君)

 

高校生が漫才で競う「ハイスクールマンザイ2016~H-1甲子園~」(よしもとクリエイティブ・エージェンシー主催)決勝大会が8月28日、なんばグランド花月(大阪)で開催され、大阪の進学校・茨木高校の浦田勇太君(3年)と前田颯志君(3年)の秀才コンビ「午前午後」が約1500人の頂点に立った。(文・写真 坂祐三)

ボケとツッコミ入れ替わる

「優勝は午前午後」。

審査委員長のオール巨人さんが、コンビ名を告げると、ツッコミ役の浦田君とボケ役の前田君は、驚いたような表情で肩を抱き合った。

披露したネタは、コンビニを訪れたボケ役の前田君が、突如強盗に変身する奇想天外な展開。途中でボケとツッコミが入れ替わり、浦田君が「アベックになれ!」など無理難題を押し付けるというもので、その計算し尽くされた構成に「お笑いの聖地」の満員の客席を爆笑の渦に巻き込んだ。

自然なツッコミが高評価

オール巨人さんら審査員から「自然なツッコミはなかなかできない。関西っぽくない、ゆったりとした中でのスピード感が抜群だった」と絶賛された。

「ネタは昨日完成したばかりでした。このネタで本当に大丈夫なのか、不安だったので、優勝できてうれしい」と浦田君が言えば、「いろんなことで壁にぶつかり、苦しい事ばっかりだった。応援してくれたみんなのおかげです」と前田君も感激しきり。約150人の大応援団も、涙を流しながら2人の快挙を祝福した。

野球の借りは漫才で返す

2人は同校の硬式野球部に在籍。今夏は甲子園に出場した履正社高校にコールド負け。「野球の借りは漫才で返そう」と一念発起した。昨年からコンビを組んだが、本格的に練習を始めたのは、大阪大会後の7月下旬だった。

茨木高校は大阪府の中でも有数の進学校。浦田君は神戸大の医学部、前田君は京都大の工学部を目指している「エリート・コンビ」だ。浦田君は「親を説得してでも、この道を進みたいです」と、お笑いのプロを目指す意気込みだ。