NHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」でヒロインを務める女優の高畑充希さん。「いつもポジティブ思考でちょっぴり能天気」と自身の性格を語るが、高校時代は「我が強くて、社交的ではなかった」という。多くの人との関わりを通じて成長し、友人関係も変化した。(文・中田宗孝、写真・玉井幹郎)
高校時代は「どこか無敵」
明るい役どころが多く、朗らかなイメージだが、高校生のころは「社交的なタイプではなかった」と振り返る。
「我が強くて、どこか『自分は無敵』だと思っていました。例えば、自分がこうだと決めたら、他の意見には耳を貸しませんでした。同級生から見たらトゲトゲしかっただろうな(苦笑)」
「1人でも平気」。そんな心境だったが、女優の仕事を通じて多くの人と接したことで精神的にも大きく成長した。
「自分と違う意見でも受け入れてみる。『寂しい』と素直に人に頼ってみる。すると、張りつめた気持ちが楽になって自分らしくいられるんです」
内面が成熟すると、高校時代の友人との関係にも変化が。
「高校卒業後に仲良くなった子もいます。正反対の性格だと思っていたのに、今では何でも話せる、一生の親友です!」
受験で役立った「読書」
「芸能界以外の場所でも人間関係を築きたい」。そんな思いで大学への進学を決めた。幼いころから好きだった読書が、受験の小論文で役立ったという。
「読書で、感情を表す多くの言葉を知りました。そして、自分の考えや思いを伝える言葉を、頭の中から見つけられるようになりました。あとは、ひたすら書いて小論文に慣れました」
撮影ではノートを活用
現在はドラマ「とと姉ちゃん」の撮影に全力投球。普段は台本を書いて覚えることはしないが、この作品ではせりふなどを細かく書き込んだノートを持参して撮影に臨む。「物語の時系列と役柄の感情の流れをまとめたノートを本番前に読み返します。それで気持ちを整理すると演技に集中できます」
高畑さんが演じる、亡き父に代わり家族を支える常子は「悩みを引きずらない能天気さが自分と重なる」という。
「常子は『何とかなるの精神』で前向きに困難を乗り越えます。私も一緒。寝たら悩みを忘れるところも同じ。能天気ですよね」
- 【たかはた・みつき】1991年12月14日、大阪府生まれ。2005年にミュージカルの主役に選ばれて芸能界デビュー。07年から6年間、伝統ある舞台「ピーターパン」の8代目ピーターパンを演じる。女優や歌手として活躍。主演映画「植物図鑑」は6月4日公開。
「とと姉ちゃん」
昭和初期の1931 年。若くして父・小橋竹蔵(西島秀俊)を亡くした常子(高畑充希)は、父(とと)に代わり、母と2人の妹を養う「とと姉ちゃん」として奮闘。終戦後は女性の暮らしを彩る雑誌作りに取り組む。NHK総合、月~土曜午前8時~8時15分ほか。