独自のカリキュラムで理数教育を行うスーパーサイエンスハイスクール(SSH)。東京都と神奈川、千葉、埼玉の3県のSSH指定校17校が3月21日、これまでの課題研究などの成果を発表。その中から、社会貢献を意識した研究に取り組む、東京の3校の発表を紹介する。
(文・写真 野村麻里子)=学年は開催時
当日は、約360グループが東京・文京学院大学本郷校舎で行われた「第11回関東近県SSH合同発表会」で、研究内容を披露した。
「既読無視」のストレス検証
玉川学園高等部の高橋英礼奈さん(2年)と芦原香枝さん(2年)は、LINEでメッセージを読んだのに返信しない「既読無視」をされた際のストレスについて、SSHの課題研究で調べた。
女子30人にLINEでトークをしてもらった後、唾液に含まれる成分を測定。7分間、既読無視をされるとストレスを感じた値が上昇。10分間になると7分間のときの約7倍もの値になった。
今後は性別、年齢別で実験し、値に差が出るかを明らかにしたいという。高橋さんは「LINEが原因のいじめがあると聞く。既読無視がストレスになるという研究結果を、同年代に広く知ってほしい」と話した。
杉からピンクの草木染
多摩科学技術高校の科学研究部(生活科学班)の部員5人は、千葉県山武地方の「サンブスギ」を使った草木染をしてきた。木の幹でピンク色を出せるのが珍しいことに注目。約半年間、きれいな色の出し方を試行錯誤し、染色に成功した布でサンブスギの香りがする匂い袋を製作。今後は発色を改良し、商品化を目指す。
樹木の伝染病が流行するなど、山武地方の林業は衰退しているという。上田恵子さん(2年)は「匂い袋を通し、山武地方の林業の現状を知ってほしい」と話した。
卵の殻で水質浄化
科学技術高校の濱井理子さんら2年生5人は、染料による河川の汚染が世界で問題になっていることから、卵の殻に水質の浄化作用があるかどうかを研究している。
染料を入れた水で実験したところ、卵の殻は染料を吸着する効果があることが分かった。濱井さんは「次は、別の染料や生活排水を使って、吸着効果をさらに検証したい」と話した。