大学入試センター試験にかわる新たな共通テスト「大学入学共通テスト」(新テスト)の実施が近づいている。文部科学省が実施方針を公表し、大学入試センター試験は試行調査(プレテスト)を実施するが、情報が限られており、不安になっている高校生もいるだろう。これまで公表されている情報や取材に基づき、シリーズで新テストを解説していく。まず、新テストの実施までのスケジュールについて説明する。

Q 新テストはいつから始まるの?

A 大学入試センター試験は2020年1月に実施されるもので最後となり、2021年1月から新たな共通テスト「大学入学共通テスト」が始まる。報道や国の発表で「2020年度からの改革」などとよく言われるが、2020年度(2020年4月~21年3月)に実施される、2021年度入試という意味だ。2018年4月に高校に入学し、21年4月に大学に入学する生徒から主な対象となる。

Q 浪人生はどうなるの?

A 2020年4月の大学入学を目指している人が浪人して翌21年の大学入学を目指す場合、新テストを受験することになる。新テストの出題傾向はセンター試験から変わるが、出題のもととなる範囲や教科書には変更がない。そのため、大学入試センターは、21年1月の新テストでは浪人生向けに別問題を作成することはしない方針だ。

Q 実施までのスケジュールは?

A 文部科学省は2017年7月に新テストを含む大学入試改革の大まかな実施方針を決定した。これによると、新テストの出題科目は当面、今の大学入試センター試験から変わらない。新テストの国語と数学の問題の一部で記述式を導入することも実施方針に書かれている。

一方、どのくらい出題傾向や問題構成が変わるのかはまだ明らかではない。大学入試センターは、17年11月から18年2月にかけて高校生対象の試行調査(プレテスト)を初めて実施したが、新傾向の問題に高校生がどうこたえるかを試すことに重点が置かれており、問題構成は本番に引き継がれるものではなかった。18年11月には大学を会場にして二度目の試行調査が行われる。その問題構成は本番を想定したものになるとセンターは説明している。高校2・3年生が主に受けるが、新テストの「当事者」になる高校1年生も注目したほうがよさそうだ。

大学入学共通テスト実施までのスケジュール(文部科学省が2017年に公表した資料から)

Q 問題構成はいつわかるの?

A 今回の試行調査の結果を分析したうえで、センターでは問題構成や出題方針を固めて、本番の問題作成を進める考えだ。18年度のうちには問題構成の見通しをつけるとみられている。何らかの発表もあるだろう。19年度にも確認のためのプレテストが行われる可能性があるが、実施の有無を文科省やセンターは決めていない。

なお、2022年4月に高校に入学し、25年4月に大学に進学する人からは、高校の学習内容がかわる。新テストの出題科目が変わり、出題内容もさらに変わると見込まれているが、具体的な検討は進んでいないとみられる。