東京工業大学は9月13日、2019年度入学者から授業料を現在の年額53万5800円から年額63万5400円に値上げすると発表した。現在の授業料は国が定めた標準額。国立大が学部の授業料を、標準額を超えて設定するのは初めてだ。

新たな授業料の対象となるのは19年度以降に学部(東京工業大学では「学院」)、大学院に入学する学生。9万9600円(18.6%)の値上げとなる。東工大は授業料の増収によって国際化の推進や教育環境の整備などを図るとしている。

国立大の授業料は、国が「標準額」を決め、各大学は標準額の2割増しを上限に授業料を決められる。ただ、実際にはどの大学も標準額を授業料としてきた。

東京工業大学の益一哉学長

東工大は、2016年から学部と大学院の一貫教育を重視した独自の「学院」制度を導入し、学生の学ぶ志を高めることも狙ったリベラルアーツ教育の強化や、学生の留学支援などに取り組んでいる。益一哉学長は、早期に最先端の研究にふれられる教育や、世界各界の第一人者を招いた講義を充実することなどを挙げて、「他の国立大学と一線を画した『東工大モデル』の教育を着実に実現するため、授業料の改定をお願いすることとしました」「志のある学生が経済的状況により本学で学ぶ機会を逸することがないよう、新たな給付型奨学金の創設等により進学機会に対する経済格差の解消に努めます」などとするコメントを発表した。