東京医科大学の入学試験で、女子や3浪以上の男子の合格者数を抑える得点操作をしていたことが分かった。内部調査委員会の報告では、医学部医学科の2次試験の小論文で、少なくとも2006年の入試から得点操作を繰り返していた。
「受験生への背信」
同委員会は「女性差別以外の何物でもない」、浪人生男子への措置も「受験生への背信行為」として「大学の自殺行為に近い」と厳しく非難している。
東京医科大は文部科学省の女性研究者研究活動支援事業の対象校。ホームページで「男女共同参画推進で欠かすことのできない女性研究者への支援を充実させる」と掲げる大学が、実は、医師を目指す女性を敬遠してきたという実態が明らかになった。背景には、出産や育児で離職率が高い女性医師より男性医師を確保したい思惑があったとされる。
多浪の男子も
報告書によると、受験生全員の小論文(今年は100点満点)の点数に「0.8」を掛けた上で、男子は現役と1、2浪生に一律20点、3浪生には10点をそれぞれ加算。女子と4浪以上の男子には加算しなかった。推薦入試でも得点調整が行われていた可能性に言及している。
文科省が全国調査
女子や多浪男子への得点操作は、文科省の前局長が息子の合格を見返りに便宜を図ったとして東京地検特捜部に受託収賄容疑で逮捕された事件をきっかけに発覚。報告書では、今年と昨年の1次試験について、当時の理事長らの主導で受験生19人に点数を加えたという。
東京医科大の不正入試を受けて、文科省は全国の国公私立大の医学部医学科を対象に、入試の公正な実施に関する調査を進めている。だが、面接や小論文などで曖昧な方法によって得点差がつけられている可能性もあり、各大学は判定方法を公表して入試の透明性を担保することが求められる。