3月22日から始まる選抜高校野球大会に出場する京都翔英(京都)が、旋風を巻き起こしそうだ。春夏通じて初めての甲子園。2004年の済美(愛媛)を最後に達成したチームがいない、初出場初優勝に超攻撃野球で突き進む。 (文・写真 宇佐見英治)
昨年秋、京都を制して初出場した近畿大会で初優勝。準々決勝の履正社(大阪)戦は延長12回で3-1、報徳学園(兵庫)との決勝は延長13回で3-2。京都翔英は、粘り強い戦いで新王者となった。しかし今、主将の山口翔悟捕手(2年)=京都・東宇治中出身=は、こう言いながら気を引き締める。
「自分たちは、近畿大会で優勝したチームではなく(その後の明治神宮大会1回戦で)北照(北海道)に負けたチームです」
北照には1-3と逆転負けした。太田弘昭監督(40)は「神宮では反省点がかなり出ました。初めての全国大会で、お祭り気分の選手がいて、バント失敗やエラーもあった。気の緩みで負けた。それを戒めることができました」と振り返る。
太田監督、伊地知正喜部長(39)、選手たちは、神宮での悔しさを胸に刻んで冬を過ごした。そして「甲子園でその借りを返す」(太田監督)エネルギーが生まれた。
チームの強みは、データ重視の攻撃的走塁と打撃。太田監督が「ハートは熱く、頭はクールに」と鍛え抜いてきた。昨年秋の京都大会決勝の相手は福知山成美。同年春の京都大会準々決勝で0-10の5回コールド負けを喫していた。11-3とリードして9回表の攻撃を迎え、「春の借りを返す!」という、監督の気迫がベンチに満ちていた。選手たちは、その回に連打で11点を追加した。この勢いが続けば、甲子園初出場初優勝も夢物語ではない。
プロも注目 榎本和輝
エースで打撃も主軸の榎本和輝(2年)=大阪・大正東中出身。「緊張はしないと思いますし、自分の力を出します」と、熱い戦いを楽しみにしている。181㌢82㌔の恵まれた体格を生かし、昨年夏の地方予選では3試合で打率5割、6打点を記録した。
投手としての評価も高く、最速139㌔の直球とスライダーで相手打者を翻弄する。昨年6月に右肩を痛め、しばらくマウンドから遠ざかっていたが、秋の近畿大会で復帰した。