福岡・三池工業高校の電気科の生徒たちが昨年度、地元の動物園からの依頼を受け、園内で飼育するラマ用の自動給餌器(餌やり器)を1年がかりで製作した。現在も動物園で稼働中だ。(中田宗孝)
動物園用に独自に製作
同校によると、企業が販売するペット用の自動給餌器はあるが、動物園専用のものはなかったという。地元の大牟田市動物園の依頼を受け、昨年4月から当時の電気科3年生9人が、オリジナルの自動給餌器の製作に取り掛かった。
ポイントは自動式にすること。1日に何回も餌やりをする飼育員の作業を軽減させる狙いがある。
昨年11月に1号機が完成。タイマーに設定した餌の時間になると、自動的に電気がオンになり、プロペラ付きモーターが0.5秒間回転して餌が落ちる仕組みだ。1日8回まで予約設定ができる上、ラマが感電しないように電圧を約12ボルトに抑える工夫をした。
太陽光を利用する工夫も
だが実際に1号機を使ってみると、消費電力量が多いという問題が発生した。単3乾電池16本で稼働する1号機は、およそ2週間で電池が切れてしまう。そこで生徒たちは、ソーラーパネルを自作し、太陽の光から得る電力で自動給餌器を稼働させる大幅な改良を実施。消費電力量を減らすことに成功した2号機は今年2月、動物園のラマの厩舎(きゅうしゃ)に設置され今も活躍中だ。
今年度も動物園から依頼を受け、電気科の3年生が、課題研究で新たな機器の製作に取り組む。小宮昇汰君は「僕は電気系工作部員なので、手先の器用さで製作に貢献したい。動物園の皆さんが喜んでくれる機器をチーム一丸となって作りたい」と意気込んでいる。