全国の高校生が自作した鉄道ジオラマのできばえを競う「第10回全国高校鉄道模型コンテスト2018」(8月4日・5日、東京ビッグサイト)が開催された。12校がエントリーした「一畳レイアウト部門」では、大崎高校(東京)ペーパージオラマ部が2年連続3度目の最優秀賞を受賞した。(文・写真 中田宗孝)

大崎高校の作品

「一畳レイアウト部門」は、畳一畳分のスペースの中に、鉄道の走る情景を制作する。「モジュールレイアウト部門」の作品と比べ、ダイナミックなジオラマを作り込めるのが特徴だ。

同部は、駅舎や橋、森林生い茂る山肌といった情景の90%以上を紙で制作し、近年は高さ1メートルを超える大きなジオラマを完成させている。今作では、制作責任者の加藤光希君(2年)が家族旅行で頻繁に訪れていた長野県を題材とし、同県の山間部を走行する鉄道風景をペーパージオラマで表現した。

過去、現在、未来の電車を一つのジオラマで

作品は5層構造の大作だ。最上段には、1944年(昭和19年)から木材搬出に利用されていた遠山森林鉄道(昭和43年廃線)を制作。2段目から4段目までは、南アルプスを走る飯田線の情景、下段では、2027年に開業予定のリニア中央新幹線(長野県駅も設置予定)を登場させた。加藤君は「広大な南アルプスを走る、長野県の約80年の鉄道史を顧みられるようになっているんです」と、制作意図を話す。

作品2段目の飯田線の万古川橋梁は、CADを使って製図し、約2カ月かけて組み立てた加藤君の渾身(こんしん)のペーパージオラマだ。また、作品内にNゲージ(実際の電車の1/150の大きさ)、HOゲージ(実際の電車の約1/87の大きさ)のサイズの異なる電車を走らせることで、作品に遠近感を出す工夫も凝らしてある。

作品は同部門で2年連続となる最優秀賞を見事受賞。「去年の先輩方が最高の賞をとっていたので、プレッシャーがありました。その重圧にも負けずに頑張れたと思う。部員全員で獲得した賞です」(加藤君)

大崎高校ペーパージオラマ部の生徒たち